元スパイ襲撃事件で深刻化する英露対立 反プーチンで西欧は結束するか
不審死の再調査に加え、イギリス政府はスクリパル氏に対する殺人未遂への報復措置として、ロシア人外交官23人の追放を決定している。ロシアもこれに対抗する形で、ロシア国内のイギリス人外交官の追放を発表。メイ政権は週明けに予定されている閣僚会議で、ロシアに対する追加制裁を議論する予定だ。ブレグジット(英国のEU離脱)によって、イギリスと西ヨーロッパ諸国との間にすきま風が吹いていたが、ソールズベリーの事件によってドイツやフランスがイギリスとの連帯を示す結果に。18日に行われたロシア大統領選挙ではプーチン大統領が再選し、通算4期目に突入することが確実となったが、大統領選前になぜこのような事件がイギリスで発生したのだろうか。プーチン体制がさらに続くロシアと欧米諸国は関係改善に向けて落としどころを見出すことができるのか。先の読めない時代はしばらく続きそうだ。
--------------------------------- ■仲野博文(なかの・ひろふみ) ジャーナリスト。1975年生まれ。アメリカの大学院でジャーナリズムを学んでいた2001年に同時多発テロを経験し、卒業後そのまま現地で報道の仕事に就く。10年近い海外滞在経験を活かして、欧米を中心とする海外ニュースの取材や解説を行う。ウェブサイト