たくさんの本、待ちわびた 被災の輪島市立図書館が仮設で再開
能登半島地震で被災し、11月から移転作業で休館していた石川県の輪島市立図書館が、同市宅田町の商業施設「パワーシティワジマ・ワイプラザ」で、仮設図書館として再開した。 【写真】開館とともに、図書館へ入る人たちを出迎える職員ら=2024年12月21日午前10時、石川県輪島市、小宮健撮影 開館初日の21日、館内には再開を待ちわびた多くの市民が訪れ、思い思いの本を手に取っていた。親子で来館した大久保叶奈(かな)さん(12)は、「図書館が大好きなので再開を楽しみにしていた。たくさんの本が読めてうれしい」と喜んだ。 図書館は元々、輪島市文化会館内で約15万冊を蔵書し、6万冊以上を開架していたが、地震により建物が休館。5月から隣接する道の駅内で1千冊ほどの貸し出しを行っていた。 その後、現在の場所へ移転を決定。9月の豪雨災害の影響で作業開始に遅れは出たが、金沢学院大学の学生や石川県・富山県の図書館職員のボランティアらが協力して汗を流し、12月中の開館にこぎつけた。 開架スペースは文芸書や絵本、専門書、雑誌など4万5千冊が陳列されている。また、学習用テーブルやマットが敷かれた子ども用スペース、調べ物用のパソコンもある。同図書館の細谷樹史(みきひと)・管理係長(47)は「様々な本と出会うことが出来る空間を目指している。何げなくフラッと立ち寄りたくなる施設にしたい」と話した。 残る約10万冊の蔵書は、市文化会館内の旧図書館に保管されている。だが、同会館は耐震基準を満たしていないため解体が決まっている。仮設図書館には保管スペースが無いため、新たな移設先の選定が課題という。(小宮健)
朝日新聞社