課長になりましたが「役職手当」のために残業代は支払われないそうです。そういうものとして受け入れるしかないでしょうか…。
課長に昇進して喜んだのもつかの間、上司から「役職手当が付いているから残業代はない」と言われたという経験がある方もいるはずです。 しかし、役職手当がある=残業代が付かないというのは正しいのかと疑問を持つ方もいるでしょう。そこでこの記事では、役職手当が付いていると残業代は支給されないのかについて考えていきます。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
役職手当が付いていると残業代は支給されない?
残業代が支払われるかどうかは、労働基準法第41条に基づく「管理監督者」であるか否かによって変わってきます。 もし、ご自身が管理監督者にあたる立場の場合は、労働基準法で定められている労働時間などの規定は適用外となるため、残業代は支給されない可能性が高いでしょう。 一方、管理監督者に該当しないのであれば、課長に昇進した場合でも労働基準法が適用されるため、原則として企業は法定時間外の労働については残業代として割増賃金を支給する必要があるとされています。 ちなみに、管理監督者でなく役職手当が付いている場合でも、残業分の割増賃金を含めたものか、含まれている場合であっても法定額以上の支給になっているのかなども、支給の有無を判断する材料となります。 そのため、役職手当が付いているからといって必ずしも残業代が発生しなくなるわけではありません。
管理監督者の定義は?
なお、労働基準法上の管理監督者の定義は「労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされています。 つまり、課長などの管理職になれば誰もが管理監督者になるわけではなく、その労働者の立場・権限・職務内容などを踏まえ、実態に応じて判断されるのです。 また、厚生労働省の行政解釈では、管理監督者とは「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきもの」とされています。 管理監督者であるか否かの判断基準は、以下の通りです。 ・労働時間、休憩、休日などに関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること ・重要な責任と権限を有していること ・現実の勤務態様も、労働時間などの規制になじまないような立場にあること ・賃金などについて、その地位にふさわしい待遇がなされていること 上記のような方の場合、管理監督者として判断され、労働基準法で定められている労働時間などの規定が適用外になる可能性があります。