家族の不幸で無意識に追い詰められ…「中2~高1年までのはっきりした記憶がない」双極性障害の心情を俳句で表現した漫画が話題に【作者インタビュー】
「中学校2年生から高校1年生までのはっきりした記憶がない」そう語ったのは、書評ライターや連句人として俳句や文芸情報をX(旧Twitter)で発信をしている高松霞(@kasumi_tkmt)さん。家族の不幸に無意識に追い詰められていた日々と、それにより発覚した躁うつ病との日々を綴ってもらい、その心情にぴったりな俳句とともにコミカライズ。作画は、自らのことを「霊感のようなものがある人間」と紹介する漫画家・桜田洋(@sakurada_you)さんが担当。その柔らかで心に染み入る絵のタッチと、鮮やかな色づかいが魅力だ。 【漫画】本編を読む ■俳句と漫画で語る双極性障害の真実 この作品では躁状態とうつ状態の落差をテーマにしている。作者である高松さん自身の心の葛藤を表現し、読者や友人知人に理解を求める意図が込められているという。 俳句の選定をするにあたり「イケイケのアッパーな句」をリクエストした結果、「きょお!」という擬音語を含む俳句が選ばれたそうだ。実際に「きょお!」と発音してみると、その響きからは高揚感が伝わる。 別の俳句「静まればこちらの岸で蝶になる」では静けさへの願望が表現されている。高松さんは身体や脳を静めることの難しさを語り、心の内面に向き合う姿勢を見せる。どんなに場所を変えても心の静寂は得られないという思いが込められている。 高松さんは主治医からのアドバイスをもとに、波を小さくすることの重要性を強調する。躁の時期に創作活動を行いうつの時には休むというスタイルは、多くの人にとっては自然な流れだが、彼女には難しいという。軽躁の時に成し遂げた仕事もあるが、再発するうつの影響が大きい。いつか、躁状態でも一定の仕事ができるようになることを目指していると高松さんは語ってくれた。 また、高松さんに躁うつ病に関するオススメの書籍を聞いてみると、加藤忠史氏の著作はわかりやすく、彼女自身も参考にしていると教えてくれた。また、「双極性障害と働くこと」をテーマにした松浦秀俊氏の書籍にも注目しているそう。 高松さんの作品は、躁うつ状態の波をリアルに描写し、読者に新たな視点を提供する。独特の感性から生まれる俳句と共に、彼女の作品は多くの人々に深い共感を呼び起こすことだろう。心の揺れ動きを繊細に描いた高松氏の世界観に興味のある人はぜひ読んでみてほしい。 取材協力:高松霞(@kasumi_tkmt)