「日本株は安すぎる」と騒ぎ立てる人が見落としている真理
PBRやPERなどに照らし合わせて、日本株は安すぎると騒ぎ立てる人は少なからず存在します。そんな人が見落としている点とは?(イメージ写真:den-sen/PIXTA)
年明けから、アメリカの株式市場はかなりボラタイル(変動が大きい)な状態にあった。これにつられてか、わが国の市場も日々動き、かなり株価の下落があった。保有している銘柄によってインパクトは違うが、中には損失を被った方もあろう。 PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)などの標準的な価格指標から見ると、純資産や利益の状況との対比で、現在の日本株は過小評価されている兆候がある。将来リスクで見ても、急成長した企業の多いアメリカとの比較では、長寿ぞろいの日本企業はリスクが相対的に大きいとはいえない。 ただし、日本市場にもマイナス要因はあって、とりわけ「大企業がイノベーティブでないのがけしからん」という声は多く聞かれ、これが市場低迷の元凶といわれる。しかし、このことは安定性と表裏一体の特性で、一面だけを見て批判するのは「象は太って動きが鈍いからけしからん」という批判と同じくらい不当である。 仮に、体脂肪などまったくない、スリムで身軽な象が出現したとして、それが現生の象より環境に適応できる可能性は低い。おそらく、生存競争の中で直ちに淘汰されるであろう。 身軽な象が現実的でないのと同様、大企業が日本的なよさを残したまま、クリエーティブになることは至難である。だからといって、例えば空を飛べないから象には価値がない、というような短絡をする必要もない。象に生まれたなら陸の王者を目指せばよく、このような視点で見れば、日本の大企業には多くの魅力がある。
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蟹分 解