ハイ・リターン=ハイ・リスク? J-REIT配当利回りをどう考えればいい?
日本版不動産信託投資(J-REIT)を投資の選択肢として考える前に、気になるのが配当利回り(リターン)とリスクです。J-REITにおけるリターンとリスクについて、どう考えて投資をしていけばいいのか、ミリタス・フィナンシャル・コンサルティングの田渕直也さんが解説します。
配当(分配金)利回りはどう決まる?
すでにお話ししたとおり、J-REITでは投資法人の利益の大半が配当(分配金)という形で投資家に分配されます。この配当の大きさがJ-REITの大きな魅力の一つです。 投資口一口当たりの配当額を投資口価格で割ったものが、配当利回り(分配金利回り)と呼ばれます。4月27日現在で、上場J-REITの平均配当利回りは3.24%となっています。長期金利の指標として用いられている10年物国債利回りがマイナス0.06%であることを考えるとかなりの高利回りですね。 ちなみに、配当利回りと長期金利の差をイールド・スプレッドと呼んでいます。 上記の例でいうと、3.24%-(-0.06%)=3.30%ということになります。イールド・スプレッドは、J-REITの相対的な魅力度を測る指標の一つとして用いられていて、この水準が高ければ高いほど、J-REITの価格が割安で、相対的な魅力が大きいと判断されます。過去の推移を見てみると、その中心的なレンジはおおむね2~4%程度なので、現在はまずまずの利回りの高さだといえるでしょう。 では、配当利回りは高ければ高いほどいいのでしょうか。 J-REITに限った話ではありませんが、金融商品の価値を考えるうえで、とても重要な基本原則があります。それは、リスクとリターンはどんな金融商品でも基本的には釣り合っているはずだというものです。簡単にいえば、利回りの高さは、価格変動などほかのリスクの裏返しということになります。 国債は、価格変動も大きくなく、最もリスクが低い資産の一つと考えられています。J-REITには、国債にはない様々なリスク(不動産市況のリスク、投資法人の財務リスクなど)があるため、その見返りとして利回りが高くなっているわけです。