元日本代表・岡崎慎司は「努力で超一流になった」…J1通算251勝の恩師が期待する未来
引退会見を行った元日本代表FW岡崎を清水時代に指導した、長谷川健太監督(現名古屋監督=58)がこのほどスポーツ報知のインタビューに応じ、努力型FWの長年の活躍をたたえ、これからの人生へのエールを送った。(取材・構成=田中 孝憲) J1通算2位251勝の名将・長谷川監督に、努力の大切さ、という気付きをくれたのが岡崎だった。 「プロになる中で、抜けた素質を持つ選手は必ずいる。そういう選手が超一流になると思っていたんです。そうじゃなくて、プロになる選手は誰もが素質を持っている。その中で超一流になるのは本当に努力をした選手なんだな、ということを岡崎から学びました」 岡崎は長谷川氏のプロ指揮官1年目に入団した。当時の清水は韓国代表FWチョ宰溱や同FW崔兌旭らがひしめく充実の攻撃陣。出場機会はなかなか得られなかったが、1年目の天皇杯決勝では負傷者が相次ぎ、先発のチャンスをつかんだ。 「練習試合は得点で結果を残す選手でしたので、どこかで使ってみたいなと思わせるようなプレーをしてくれていました。まぁ、その当時は『岡ちゃんしかいねぇのか…』みたいな思いでしたけれど(笑い)。得点とか活躍はしなかったんですけど、今思うと持っている選手は、そういう舞台に立つんだなと。そういう経験が、血となりに肉となり、少しずつ成長していったのではないかと思います」 フィジカルの強さも当初から持ち合わせていたわけではなかった。フィジカルコーチの杉本龍勇氏と作り上げていった。 「オフシーズンも龍勇のところに行って。100メートルを1秒速くなりたい、ジャンプが10センチ、20センチ高く飛びたいという岡崎の思いから始まって。それを叶えるだけの肉体を手に入れないと、少しでも速く、少しでも高くという部分は叶えることはできない。でも、それをやり続ければ、そういうことが叶うんだというところ。杉本と一緒にトレーニングを積んだり、日々のトレーニングの中でも鍛錬をずっとやり続けた選手。頭が下がるというか、すごいなと。自分自身でそこまで追い込めるな、というのは端から見て感じましたね」 代表クラスの選手になってからも、岡崎は監督の指示を忠実にこなした。チームのために徹する姿と明るいキャラクターが、海外で成功したと要因と感じている。 「5年目くらいには、2トップの一角や、真ん中で使ってもおかしくないくらいの活躍はしていたのですが、あえて3トップの左に使ったんです。それも非常に快く受け入れてやってくれた。明るいですし、素直なので、向こう(海外)の人にも受け入れられたんじゃないかな。そういうのがないと、いくらサッカーだけうまくても、なかなか向こうの文化に馴染むことはできないと思います。向こうの文化に馴染んで、彼のプレーを評価してくれている、という両面があって成功したんじゃないかな」 人望があり、プレミアリーグの優勝経験など、日本のサッカー界に還元してもらいことがたくさんある。 「(引退報告は)電話がかかってきました。お疲れ様という話をしました。(内容は)もう忘れましたけど、『また遊びに行きますよ!』みたいな、そんな感じでしたね。『名古屋で待っています』と書いておいてください(笑い)」
報知新聞社