ビットコイン5.8万ドル付近で取引──各種指標発表とポジション調整を前に市場下落
ビットコイン(BTC)の下落は、週末の暗号資産(仮想通貨)市場における全体的な売りにつながり、一部のトレーダーは忙しい1週間が始まる前に、ポジションを決定するための手がかりを探った。 CoinDesk Indices (CDI)のデータによると、ビットコインは(本記事執筆時より)過去24時間で4.8%下落し、アジア時間8月12日午前に58500ドル(約860万円、1ドル=147円換算)をわずかに超えて取引され、より広範に暗号資産市場としてはCoinDesk 20 Index(CD20)で5.2%、イーサリアム(ETH)が3.5%下落した。 米国上場の上場投資信託(ETF)は現地時間8月9日に資金流出を記録した。市場データによると、ビットコインETFは8900万ドル(約130億円)失い、イーサリアムETFは1570万ドル(約23億円)の資金流出を記録した。 ソラナ(SOL)とトンコイン(TON)は7%下落し、メジャー銘柄の中でも値下がりが目立った。バイナンスコイン(BNB)は3%、ドージコイン(DOGE)は6%、カルダノ(ADA)とエックス・アール・ピー(XRP)は5%下落した。 その他、アプトス(APT)、アービトラム(ARB)、ザ・サンドボックス(SAND)は、今週中のアンロックを前に7%下落した。これらについては、累積で1億2000万ドル(約176億円)相当の運営チームと初期投資家に帰属するトークンが公開市場に放出される予定であることが、データから明らかになっている。
アナリストが注目する今後の発表
一部の観測筋は、テクニカル的な弱さを理由に、今後数週間のビットコインのさらなる値下がりを警告した。一方で、上昇圧力となる可能性のある今後の伝統的な金融市場の発表について指摘している。 SOFA.orgの市場インサイト責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏は、CoinDeskのテレグラム(Telegram)メッセージで、「暗号資産の価格は、おそらく弱い方にバイアスのかかったレンジ相場になるだろう」しかし、「テクニカルなダメージとセンチメントは尾を引いており、オンチェーンコストモデルとMVRVモデルによると、ジャクソンホール会議前にさらなる揺り戻しの可能性が示唆される」と述べた。 「暗号資産市場は明確なアンカーを欠いており、継続的なポジション調整の影響を受けやすい。直近の数セッションでは、ビットコインとイーサリアムのETF資金流入は引き続き落ち着いている」とファン氏は付け加えている。 英米両国は現地時間8月14日に7月の消費者物価指数(CPI)を発表する。オーストラリアの消費者信頼感指数(家計をめぐるセンチメントを測定)と日本の生産者物価指数(PPI)は、企業部門で取引される商品の価格動向を測定するもので、8月13日の発表が予定されている。 週の後半には、小売大手のアリババ・グループ(Alibaba Group)とウォルマート(Walmart)が現地時間8月15日に決算を発表し、香港と台湾は8月16日に国内総生産(GDP)の最新版を発表する。 伝統的な市場でのイベントは、消費行動や一般経済の状況を明らかにするため、暗号資産価格を動かす傾向にある。好ましい発表が出ると、投資家がテクノロジー株や暗号資産のようなリスク資産により多く賭けることが予想されるため、価格が上方に振れる傾向がある一方、収益やデータが外れた場合は、投資家がより安全な賭けに移行するため、値下がりさせる傾向がある。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin Nears $58K as Market Slides Ahead of Busy Data Week
CoinDesk Japan 編集部