ドラクエ最新リメイクは脱「おじさんのRPG」なるか? 若者獲得と海外展開の試金石に
そして「#ドラクエはいいぞ」というタイトルも、少し前に流行ったネットミームを題材にしており、まさしく時代の波に乗り遅れたおじさんらしいといえる。 このWEBドラマの意図は明白だ。昔遊んだ人が懐かしむのはもちろん、『ドラゴンクエスト』シリーズを若い世代にも継承して、推してほしいと考えているのだろう。 ■今回のリメイクではジェンダーへの配慮も 『ドラゴンクエスト』シリーズはナンバリング作品が発売される間隔が長いせいか、子供の認知度が下がっているようだ。もちろんスピンオフ作品はいろいろと存在するのだが、それでも看板タイトルが何年も間を開けると、若い層からは認知度が下がる。
現在発売されているシリーズ最新作は『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』であり、これはすでに7年が経過している。小学校に入学した子供が中学2年生になるほど時間が経過しているわけで、子供が別の作品に目を向けるのも当然だろう。 では、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は若い世代にうまくアピールできるだろうか。確かにゲームシステムは新しくなっているが、レトロなRPG要素も多分に含まれており、容易にはいかなさそうである。
また、海外向けの展開も重要だ。『ドラゴンクエスト』シリーズは国内の人気が高く、海外ではそこまで知名度が高くない。ゆえに今回のリメイクで改めて世界にアピールする意図もあるのだろう。 今回のリメイクでは、キャラクターの性別表記を「ルックスA・B」にするなどジェンダーへの配慮もある。ただ、男性・女性専用装備は相変わらず存在しており、シリーズの生みの親でゲームデザイナーの堀井雄二氏はジェンダーへの配慮に苦言を呈していたりと、中途半端な対応が目立つ。
はたして、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は「おじさんのRPG」を超え、若い世代や海外にうまく受け入れられるだろうか。シリーズの今後を決める重要な転換点となるだろう。
渡邉 卓也 :ゲームライター