「私たちは娘を殺された」「なぜ千奈の生きる権利を奪ったのか」両親の悲痛な叫び 通園バス女児置き去り死事件で意見陳述【全文掲載】
また、降車確認は運転手と乗務員が行うと認識していながら、事件後いつもの運転手から降車確認をしなければならないと聞いて「あ、そうだったんだ」と被告人質問のなかで軽々しく答えていました。子どもの命を守るはずの園長が、子どもを殺したということの重大さをいまだに自覚できていないのです。 元理事長の、遺族を馬鹿にしたような非常識といえる言動は、何度もあります。事件当日の夕方、私達夫婦に彼が最初に言った言葉は忘れません。「病院に行く用事があって急いでいた」。そんな自己中心的な都合のせいで、千奈は私達大人ですら経験したことのない生き地獄の苦しみと恐怖を味わいながら亡くなったのです。 事件翌日も、司法解剖が終わり変わり果てた姿で帰宅した娘の腕を、元理事長は、私達夫婦の許可もなく突くように触ったのです。自宅での面談の際にも、妻の質問に対して、妻を睨みつけ怒りながら声を荒げて返事をしてきました。さらに園長を退任したあと自宅でどのように過ごしているか尋ねた際には、気晴らしに友人と出掛けていると言い放ちました。 裁判長の「川崎幼稚園が廃園になったら困る人がいるか」という質問に対し、元理事長は、「信用して園に子どもを預けてくれている保護者が困ると思う」と、悪びれる様子もなく発言していました。私達も、園のことを信用して娘を預けていた親のひとりでした。ですが、その信用は裏切られ、私たちは娘を殺されたのです。 千奈の命を奪った両被告人を、私は許しません。「パパに会いたい」 「パパ大好き」 と生前の千奈が言っている動画をみて、私は謝ることしか出来ません。強烈な怒りと恨みで、両被告人を殺してやりたいと考える日も少なくありません。 2021年に福岡の保育園でバス置き去り事件が発生し、国や県、市から注意喚起の通達がありました。しかし、そのわずか一年後に、杜撰な管理体制によって同様の置き去り死亡事件を起こした罪は重大であり、世間にも大きな衝撃を与えました。過去の判例よりも重い実刑判決が、両被告人に下されることを望みます。
静岡放送
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