【真理子の部屋/阪神C】闘争心あふれる愛馬への敬愛
【真理子の部屋/土曜京都11R・阪神C】 競馬に携わる方々を独自の感性で描き続けてきた赤城真理子記者。それらは「予想」というカテゴリーにとどまらない、ある種の〝物語〟といっていいのかもしれない。最前線で活躍する赤城記者がお届けする人馬のストーリーをぜひご堪能ください。
◆ナムラクレアを敬愛する2人
競走馬に対する感情は、きっと人それぞれ。その人がファンなのか、担当者なのか、主戦なのか、馬主さんなのか…立場によっても変わってくると思います。 今日、ここで書かせていただきたいのは、阪神Cに出走するナムラクレアのことを〝敬愛〟されているんだと感じる方々のこと。 彼女を管理する長谷川浩大調教師と、担当の疋田厩務員についてです。 ナムラクレアが2歳の頃から今まで、幾度となく取材に対応してくださいました。その中で言葉の端々から感じてきたのは、大きな責任だったり、期待だったり、心配だったり、信頼だったり、オーナーへの思いだったりもしたけれど…何より、ナムラクレアという馬への敬愛、が一番にあったように思います。 クレアは、すごい馬だ。 どんなときも、誰よりも、彼女の強さを信じておられました。 これまで、ナムラクレアの武器である〝閃光のような切れ味〟を生かすため、舞台や、彼女の状態、雰囲気を考慮しつつレースごとにさまざまな創意工夫をしてこられた長谷川調教師。そしてハードトレーニングを積んだ後の〝甘やかし役〟でもあり、それでいて構いすぎず、迅速かつ丁寧なケアで常にクレアの体調を万全に整えてきた疋田厩務員。 その思いに、応え続けてきたナムラクレア。 データにすれば、19戦5勝。5勝のうち4勝はGⅢです。GIには8度挑戦し、2着が2回、3着も3回…辛酸を舐めてきました。しかし、負けてきたレースにこそ、彼女の強さが詰まっていると私は思っています。不得意な道悪でも。ぶつけられても。進路がなくなっても。ナムラクレアは、レースで自分からやめたことが一度もありませんでした。どんなに苦しい展開になっても、最後まで必ず、脚を伸ばそう、伸ばそうとしてきました。