〈名古屋城〉で今昔のアーティストが集う『アートサイト名古屋城 2024』開催!
晩秋の〈名古屋城〉に現代アーティストら6組の作品が出現します。城内に点在するアートを巡ることで、〈名古屋城〉を隅々まで堪能できるイベントです。 【フォトギャラリーを見る】 〈名古屋城〉は戦前に国宝第一号に指定され、戦災で焼失した後も国の特別史跡に指定されている名城だ。2018年、空襲で失われた〈本丸御殿〉を復元したことでも話題になった。『アートサイト名古屋城 2024 あるくみるきくをあじわう』はその〈名古屋城〉を舞台に開催されるもの。「観光する行為」をテーマに6組のアーティストが登場する。
タイトルにある「あるくみるきく」は民俗学者の宮本常一が刊行した雑誌『あるくみるきく』からとられたもの。彼は「歩く」「見る」「聞く」を旅の基本としていた。出品作家の一人、蓑虫山人(みのむし・さんじん)は幕末から明治初期にかけて日本国内を旅しながら絵日記を書いた。美しい風景や建物に自分自身や旅先で出会った人々を描き込んだ、個人的な記憶にまつわる絵を多数残している。江戸中期の尾張国に生まれた高力猿猴庵(こうりき・えんこうあん)は名古屋の祭り、見世物、話題になった事件などを記録した本を著している。
ほかの4組の作家はいずれも1980年代以降生まれの現代美術作家や歌人だ。 久保寛子は先史芸術や文化人類学などに取材して制作している。彼女は〈本丸御殿〉の中庭に、古今東西の神話に登場する龍を2対の彫刻として設置する。シャチホコのルーツを辿ることで行き着いたモチーフだという。
〈二之丸庭園〉には愛知県出身の歌人/詩人の千種創一と、名古屋市を拠点とする書店であり、出版も手がける〈ON READING〉とのコラボレーションによる作品が展示される。回遊式庭園を巡っていくと鏡に印字された千種の短歌が現れるというものだ。鏡に映る鑑賞者の姿がわたしとは何か、あなたとは何かを問いかける。
植物や動物など人間以外の生物の視点から着想した作品を作る狩野哲郎は、屋外の水飲み場やバナナ(芭蕉)の木など、普通の観光客が見逃してしまうような場所に立体作品を設置する。また〈本丸御殿〉でも襖絵に描かれた動植物に呼応するような作品を展示する。