見た目は過激でも……ヤマハ「3代目MT-07」はフレンドリーなストリートファイターだ!
MT-07の大きな魅力「軽さと小さ」 車重184kgで、ホイールベース1400mm
久しぶりに乗ったMT-07で、僕が改めて感心したのは軽さと小ささ。初代と比較すればガソリンタンクカバー周辺はボリューミーになっているし、リラックスした乗車姿勢を求めてハンドルをワイド&アップ化した現行モデルは、当初の凝縮感が弱まっているけれど、それでも他メーカーのライバル勢と比べれば十分に軽くてコンパクト。1400mmのホイールベースと184kgの車重は、同価格帯のミドルクラスの中では最短にして最軽量。この感触なら、エントリーユーザーや小柄なライダーも不安を感じることはないだろう。 それに続いて僕がグッと来たのは、扱いやすくて抑揚に富んだエンジンフィーリング。近年のミドルクラスの基準で考えれば、73psの最高出力と67Nm(6.8kgm)の最大トルクは取るに足らない数値だし、昨今ではヤマハ以外のメーカーも270度位相クランクのパラレルツインを採用しているのだが、トラクションのわかりやすさや2気筒ならではの鼓動感という面では、やっぱり長きに渡ってこの形式のエンジンを手がけて来たヤマハに一日の長があると思う。 では僕が違和感を抱いていた現行モデルのキャラクターはどうかと言うと、乗り始めてしばらくはこれまでと同様に微妙な戸惑いを感じた。とはいえ兄弟車と同条件で比較することで、スロットルとブレーキを用いた車体姿勢の変化の起こしやすさ、CP2シリーズで最も軽快なハンドリング、YZF-R7を凌駕する常用域での旋回性など、今回の試乗では3代目MT-07ならではの魅力を実感。 さらにはXSR700が、初代MT-07と同様の資質を維持している事実を認識したことで、兄弟車との差別化を考えれば、MT-07がストリートファイター路線に舵を切ったのは自然な流れだったのではないか──と思えて来たのである。 ただし、初代と比べればスポーティでアグレッシブな特性になっても、MT-07は決して乗り手を選ぶバイクではないし、オールラウンダーとしての資質が失われたわけでもない。と言うより、805mmのシート高や前述した車重の軽さを考えれば、MT-07はCP2シリーズで最も親しみやすいモデルなのだ。 ヤマハCP2エンジン搭載車のシート高/車重 MT-07:805mm/184kg XSR700:835mm/188kg YZF-R7:835mm/188kg テネレ700:875mm/205kg レポート●中村友彦 写真●岡 拓/ヤマハ 編集●上野茂岐