在宅勤務ですが「仕事中に家事や子どもの世話をしてる」と、残業代なしと言われました。そもそも上司が夜の20時に「明日の朝までに」と資料作成を頼んでくるからなのですが、こんなこと許されるんですか?
中抜け時間の扱いについても明確に定められている
在宅勤務ならではの問題として、家事や子どもの世話など「中抜け時間をどのように扱うか」があります。これについても企業に対し次のようなやり方がガイドラインで示されています。 ●会社側が適正に把握して休憩時間として扱い、終業時刻の繰り下げあるいは時間年休として扱う。 ●特に中抜け時間を把握せず、始業および終業時刻の間の時間を、休憩時間を除いて労働時間として扱う。
長時間労働対策も定められている
テレワークの問題の一つに、業務の指示や報告がどの時間でも行われやすくなり、従業員の生活時間の確保に支障が生じかねない、ということがあります。そのため、会社側には時間外に業務の指示報告をメールで行うことを自粛する、といった対策が求められています。 また、当然のことですが、労働時間が深夜や休日にかかった場合は、それに応じた割増賃金が支払われます。なお、中抜け時間を管理できる勤怠管理システムも多数開発されており、すでに導入されているという会社もあるかもしれませんね。
管理者の勝手な思い込みでの間違った扱いは許されない
「中抜け時間があるから残業代なし」というのは、職場の上司の勝手な思い込みではないでしょうか。さらに所定の終業時刻を超えた遅い時間帯に緊急の業務指示を出せば、深夜業になるのは分かり切っています。長時間労働の抑制もできず、従業員の生活時間の確保の妨げにもなります。やむを得ずこのような指示を受ける場合には、深夜割増賃金となります。
「事業場外みなし労働時間制」の適用もほとんどない
在宅勤務における「事業場外みなし労働時間制」の適用についても、一言説明します。 この制度は、従業員が業務の全部または一部を事業場外で従事し、労働時間の算定が困難な場合に、事業場外労働について「特定の時間」を労働したとみなす制度です。テレワークについては、次の要件に該当する場合に事業場外みなしが適用されると定められています。 ●「情報通信機器が常時通信可能とされていないこと」すなわち、従業員がいつでも回線を切断したり、応答のタイミングを自分でコントロールできたりすること。 ●「随時使用者の具体的指示で仕事を行っていないこと」すなわち、使用者の指示が業務の目的、目標、期限などの基本的事項にとどまり、1日のスケジュール等は従業員が設定できること。 通常の在宅勤務については、会社とオンラインで常時接続されて、上司と連絡を取り合いながら業務を遂行するのが普通でしょう。「事業場外みなし」が適用されるのはよほど特殊な場合に限られると思われます。