在宅勤務ですが「仕事中に家事や子どもの世話をしてる」と、残業代なしと言われました。そもそも上司が夜の20時に「明日の朝までに」と資料作成を頼んでくるからなのですが、こんなこと許されるんですか?
在宅勤務では労働時間中に家事などの「中抜け」時間があるので残業手当は出ないもの、と考える人は少なくないようです。また、実労働時間にかかわらず、あらかじめ決められた時間分だけ働いたとみなす「事業場外みなし労働時間制」が適用されると思い込んでいる人もいるかもしれません。 実際は、勤務時間中に仕事から一時離席する「中抜け時間」の扱いには明確なルールがあります。「事業場外みなし」も適用余地は限られます。無理な業務指示を受けて長時間労働・深夜労働になるのは論外です。働く人の立場でどのように対応すべきか、検討してみましょう。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
テレワークの労働時間の扱いについては明確なガイドラインがある
テレワークは事業場外での勤務のため、労働時間管理についてはさまざまな配慮が必要とされています。厚生労働省では明確なガイドラインを示し、分かりやすいパンフレットなども発行しています。これに基づいて、今回の問題を考えてみましょう。
テレワークでも労働時間管理は必須
まず、テレワークであっても、労働時間の管理は必須になっています。もっとも、オフィスの外で業務が行われるため、管理者が実際の現場を確認するのは難しいのですが、情報通信技術を活用すれば労働時間を管理することも可能と考えられています。例えば、パソコンの使用時間を記録するなどの客観的な方法で、始業および終業の時刻を確認できます。 さまざまな事情で、客観的に労働時間を管理できない場合には、従業員の自己申告も認められますが、従業員は適正な自己申告が必要です。また管理者側も自己申告制の適正な運用について、従業員にじゅうぶん説明するよう求められています。 従業員が自己申告した時間と、パソコンの使用時間などの客観的な記録の間に著しい相違がある場合には、労働時間の補正が必要です。例えば、申告された時間以外にメールを送信していた、長時間パソコンが起動していた記録がある、といった場合などです。 また、自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなど、適正な申告を阻害する措置は講じてはならないとされています。