NASAの探査機がとらえた「木星とその衛星」の真の姿
NASAの探査機ジュノーがまたやってくれた。スクールバスサイズのジュノーは60回目の木星周回を終えた後、太陽系を横断して大量のデータを地球に送信、それらはすばらしい画像へと変換された。 【画像】周回する探査機が撮影した木星やその衛星イオ、エウロパ 画像は地球上の市民科学者チームによるもので、彼らは回転しながら時速20万kmで移動するジュノーに搭載された200万画素のカメラJunoCamから送られてくるデータを毎月受信している。データはつなぎ合わされ処理された後色づけされ、ご覧のすばらしい画像が誕生する。 現在、ジュノーは34日ごとに木星を1周している。しかし、軌道は楕円であるため木星に近づくのは数時間しかない。最も木星に近づいた点を近木点(perijove)と呼び、ここを通る時にジュノーに搭載されたカメラJunoCamのスイッチが入る。 最新の近木点を4月9日に迎える直前、JunoCamは早めにスイッチを入れられ、木星の衛星イオとエウロパを撮影した。イオは太陽系で最も火山活動が活発な衛星であり、噴火の規模は地球の火山より何桁も大きい。 昨年12月と今年1月、ジュノーはイオと超接近し、その地表からわずか1500kmまで近づいた。これは2001年10月にNASAの探査機ガリレオが撮影した時以来、最も近い通過だった。 今回イオの画像は、ずっと離れた位置から撮影されたが、それでも科学的な価値は大きい。また距離が離れたことで、JunoCamはイオとエウロパの両方を同じ視野に捕らえることができた。 ジュノーは2016年以来、木星を探査しており、これまでに3つの衛星の非常に近くを通過し撮影してきた。イオの画像が特に重要なのは、現在、木星に向かっている2つの宇宙船、NASAのエウロパ・クリッパー(2030年4月到着予定)と、ESA(欧州宇宙機関)の木星氷衛星探査計画(JUICE、2031年到着予定)の探査対象がエウロパ、カリストおよびガニメデだけで、イオは含まれていないためだ。 JunoCamがいつまで稼働するかはわからない。カメラは12月と1月の両方で放射線障害を受け、技術的問題から1月の近木点に予定されていた214枚のうち44枚しか撮影できなかった。カメラが過熱したとみられている。 JunoCamは当初、木星の高エネルギー粒子環境下で少なくとも7周するよう設計されたが、期待されていたよりはるかに長く生き延びている。11億ドル(約1700億円)の太陽電池を搭載した探査機は、2011年8月5日に打ち上げられ2016年7月4日に木星を周回し始めた。 ジュノーの次の近木点到達は5月12日になる。軌道力学によって周回は徐々に北に向かって移動している。その結果、科学者たちは木星の極のクローズアップして撮影するを初めてみる機会を得た。ミッションは2025年9月15日に終了予定で、ジュノーは76回目の接近時に木星へ向かって「死のダイブ」を敢行する。
Jamie Carter