有報虚偽記載の疑いで元社長と前社長が逮捕・起訴、倒産した老舗衣料品卸の裏切り
元・東証スタンダード上場のプロルート丸光は、1900年に創業した老舗総合衣料品卸売業者。小規模アパレル小売店の洋服1着、バッグ1個、靴1足といった最小単位での仕入れニーズにも対応する前売現金問屋として成長を遂げた。ピーク時の年商は500億円を上回り、アパレル業界では一定の存在感を示していた。 【グラフ】倒産件数の推移 しかし、バブル経済が崩壊して状況は一変。「ユニクロ」に代表される製造直販型小売業(SPA)業者の台頭も脅威となった。さらに、得意先である地方の専門店やブティックの経営者が高齢化し、閉店が相次いだことで、売り上げは減少の一途をたどった。 新たな収益基盤として免税事業と貿易事業に目を付け、中国政府や中国企業とコネクションを有する企業と業務提携するなどの策も打った。しかし、2020年以降のコロナ禍でのダメージは大きく、年商はピーク時の1割にも満たない水準まで落ち込むこととなった。 その間、不動産売却をはじめとするリストラを進めていたものの、取引銀行との間にはすきま風が吹いていた。シンジケートローンは解体され、21年末にはメーンバンクが交代。上場会社としては異例とも言える、メガバンクから地元の信用金庫への交代だった。 ただ、老舗の復活を信じた新メーンバンクの期待を裏切るかのように、23年4月に雇用調整助成金の不正受給が発覚。同年10月には、有価証券報告書の虚偽記載の疑いで元社長と前社長が逮捕・起訴される事態となった。 監査意見を不表明とした監査法人との契約を合意解約し、一時会計監査人の選任を目指したが、これだけの不祥事が明らかになっており、相手が見つからない。四半期報告書が提出できない状態となり、上場廃止が目前に迫る入るなか、12月5日に大阪地裁へ会社更生法を申請した。 現在、スポンサー支援の申し出を断り、自主再建を目指している。老舗の底力を見せることができるか、注目だ。(帝国データバンク情報統括部)