BMW新型「1シリーズ」の全容が判明! 垂直キドニーグリルと丸目4灯ヘッドライトの伝統を捨てた!? 第2世代FFモデルの走りはどうなる?
FF車にもドライブする楽しみを熟成させてきた
BMWといえば、一定の世代には「六本木のカローラ」と揶揄された時代がある。そのほとんどは「3シリーズ」で、基本モデルは実用的なパフォーマンスにとどまったものの、レースのグループAという車両規定によって「M3」が登場した。結果的にM3を開発したM社を人々に強烈に認識させ、M社によるバージョンを「Mスポーツ」として導入した。 このアプローチにより、デコレーションだけでなくスポーティなイメージを取り込むことに成功した。これは大きな成功体験として継承され、1シリーズにも「M2 クーペ」を導入したことで、「Freude am Fahren(フロイデ・アム・ファーレン=運転する歓び)」というスポーティなブランドであることを構築した。当然のように1シリーズにも、Mスポーツのバリエーションが当初から加わっている。 バリエーションの開発に長けているBMWは、4気筒/6気筒エンジンを長年にわたり熟成し、ヘッドを新設するだけで「M」のエンジンはクランクケースを共用。4気筒に4気筒をV型に合体させることでV8エンジンを生み出し、同様の手法で6気筒を12気筒へと発展させた。現代ではモジュールシステムを採用した開発で、効率が良いとされる1気筒あたり500ccというシリンダーを3つないし4つ合体させてターボを加えたのが、「ミニ」とも共有している1シリーズのパワートレインだ。ミニとの共有というのもブランドとしては一世一代の変革であって、FR車にこだわってきたレイアウトも、先代1シリーズからFF車になった。 居室の快適性ではFF車のライバルに後れを取らざるを得なかったBMWは、執拗にFR車の優位性を説き、運転する楽しみを突き詰めてきた。しかし、ミニを傘下に収めたことで、クライスラーが持て余していたペンタゴンエンジンを使って新世代ミニを世に送り出して以来、FF車にもドライブする楽しみを熟成させてきた。そしてブランドらしいキャラクターを実現するために研究開発に莫大な予算を割いた結果、1シリーズのFF化でその回収を狙った。 2代目3シリーズに4WDモデルが存在したが、今では「X5」以来、ローバーの買収に伴って本格的な4WDのノウハウも手中に収め、あくまでスポーティなフィーリングを前提にバリエーションを増やしている。先代がFF化した時のメーカー解説には、メーカーがこだわるFRというレイアウトにはユーザーはほとんど注意を払っていないという一文があった。だが、やはりBMWとしては取り込んだ技術とデジタル制御によってFR車に劣らない運転を楽しめるパフォーマンスを狙う。 しかし、ターボによる低回転からのトルクを発揮したコンセプトで、このモジュールエンジンは2000回転も回すことなくスピードに乗る。高回転でエンジンを回して操るというキャラクターは環境問題によって抑制されたが、新世代の1シリーズも巧みなマーケティング戦略によって、Mスポーツ、Xドライブ、ツインターボにモーターアシストなどの設定により、BMWらしいシリーズとしてファンの期待を裏切ることはないだろう。市場投入は2024年10月の予定だが、日本導入時期などは未定だ。新型1シリーズの各モデルのスペックは下記のとおりだ。
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