【作り手がニットを愛する理由】5人のクリエイターに聞く、編み物への愛や奥深さ|bis
そこから写真で表現するのではなく、編み物で表現することを始めようと思いhiruneknitを立ち上げることに。人と対面で話すときに気持ちを100%伝えるのは難しいけれど、編み物は手紙のように編み直しをすることができる。時間はかかるけれど、そこにはいろいろな思いや丁寧さが込められていて、編み物は人に真心を伝えられる手段のひとつだなと思っています」
着る人があたたかな気持ちになるそんなニットアイテムを目指して
■amuamu 陶芸家・ニットデザイナー:関口佳那 「私自身、仕事が辛くて病んでしまったときに何気なく始めたのが編み物でした。編み物をしている時間だけは日頃のストレスや仕事のことを考えずにいられたのが大きな救いでした。作ったアイテムをインスタグラムにアップしていたら、欲しいと言ってくださるフォロワーさんがたくさんいらして、実際に自分が手を動かして編んだものをその当時は販売していました。
その後、本業である陶芸のほうで独立することになり、自分の手を動かしてものを作ることが難しくなってしまったので今はデザインや毛糸の仕入れ、ブランドプロデュースなどを私が担当し、11人のニッターさんとともに活動しています。amuamuのニットはウールやモヘアを60~100%使用することを絶対条件にしているのでお客様からもすごくあたたかいと定評です。あとはすべてセカンドハンドの毛糸を使っているのもこだわり。毛糸そのものが可愛いので形がちょっといびつでも愛くるしいのがニットの素敵なところだと思います」
自分の直感で気軽に0→1で思い描くアイテムを作れるのが楽しい
■アパレルディレクター:hina 「おばあちゃんが編み物をする人だったので、4歳くらいのときに棒編みでコースターを作ったのが初めてだったような気がします。そこからずっと変わらず、何かを作り続けています。学生時代はタティングレースというレース編みの手法でアクセサリーを作り、ブランドとして販売していました。今は完全に趣味ですがいつかまたニットにまつわるブランドを立ち上げられたらいいなと思っています。
映画を観たり音楽を聴くことは、ほかのことが同時にできますが編み物は両手がふさがってしまうため、それだけに集中して黙々と作業をする。スマホを見ることなく気がつくと時間が過ぎていて自然とデジタルデトックスの効果があるのも魅力。私自身ずっと編み物を続けているのはゼロから好きなものを作ることができるのも大きな理由ですが、平面の編み図から立体的なものを作るということが意外とロジカルで謎解きをしている感じがして面白いからだと思います」 Text & Edit_Arisu Onodera