【合計特殊出生率】出生率が過去最低を更新!少子化なのに子どもが増えている地域の事情
【千葉県流山市】子育て世帯が魅力を感じる街づくり
自治体で少子化が進むと学校の統廃合や街の活性化、働き手不足や住民が少なくなることで税収入が減り、財政悪化に直結し、衰退を招きます。 こうした問題を解決すべく子育て世帯が住みやすいよう、様々な取り組みを実施している自治体があります。首都圏近郊のなかでとくに子どもや子育て世代が増加していることで有名なのが千葉県流山市です。 流山市は2005年に開通したつくばエクスプレス線により都心とのアクセスが向上したことも影響し、人口はこの10年で約4万人増えています。市のホームページに記載されている5歳年齢別人口構成の2014年と2024年の比較グラフを見ても20歳以下の子どもの人数が増加しています。 また、最も多い年齢層が35歳から39歳と若い世代が多い街になっています。 都心まで電車で20分という立地や、自然の残る環境をアピールし、2010年に発表したキャッチコピー「⺟になるなら、流⼭市。」「⽗になるなら、流⼭市。」を皮切りに子育て世代、共働き世帯にとって住みやすい街を実現してきました。 待機児童解消にもつながる保育施設への送迎システム「送迎保育ステーション」など、子育てをしている親にとって「ありがたい」と感じる子育て支援策を打ち出し、子どもの人口が増えていることから新しい小学校の開校も続いています。 子育て中、または子どもを生む予定のあるカップルにとって子どもを育てる時に便利なサポートの種類が豊富な自治体は魅力的です。「ここで子どもを育てたい」と移住を決断する決め手にもなります。
【島根県隠岐郡海士町】教育と少子化問題が融合した離島留学
子どもの人口が増える自治体は都心からのアクセスが良く、子育て支援が充実しているだけの話で、過疎が進行している地域には無縁というイメージが強いです。 都市部からの移住を推進する動きはありますが、すぐに結果が出るのは難しいものがあります。そうしたなか、国土交通省を主体とした全国から離島の学校に通いたい子を募集する「離島留学」も行われています。 島根県の海士町では少子化により廃校も時間の問題となった島根県立隠岐島前高等学校で募集対象の生徒を全国に拡大し、離島留学の先駆けの自治体として知られています。 住民の高齢化が進む地域で県内外からやってくる生徒との交流をし、地域活性化や離島への移住または就職という形で子どもの人口が増えていくことにもつながります。また、自然が身近な地域で生活することで子どもは都市部では経験できない教育を受けることができます。 2020年12月からは海士町を含む隠岐島前地域(西ノ島町・海士町・知夫村)で20歳から35歳を対象とした「大人の島留学」もスタートし、若い世代の人口を増やす取り組みも始まり、地域を上げて人口流出や少子化対策を行っています。 海士町の人口構成を2023年と2010年で比べると49歳未満の人口が増加しており、昨今の少子高齢化を乗り越えていることが分かります。