打倒“ロシア最強3人娘”も可能?!紀平梨花の4回転回避プログラムから読み解ける自信と成長
またステップシークエンスのレベルもコストルナヤが4で紀平が3。これも微差だが、0.99差がついた。演技構成点では、0.17だけ紀平が上回り、ほぼ互角だったが技術点の小さな差の積み重ねとSPでの得点差が響き、勝敗を分けることになった。 だが、中庭氏は、フリーのプログラムから「成長の跡とトップを狙う意識の高さ」が読み解けるという。 「4回転を回避した紀平さんが、より確実な策をとるならば冒頭にトリプルアクセルをもってきて昨シーズンのように早めにトリプルアクセルを2本やり終えているでしょう。でも、紀平さんは冒頭に3回転サルコーを置き、そこが、4回転サルコーになったケースを想定したプログラム構成のまま2つのトリプルアクセルを完璧に滑り切りました。この点は大きな成長であり、トリプルアクセルは、どこの順番でも成功できる自信の表れです。4回転を組み込んだ構成への期待が膨らみます。もし4回転サルコーを入れて成功すれば、基礎点で5.4点の上乗せが可能になりますからさらに得点の上乗せに期待がもてます」 連覇を狙うGPファイナルでは、コストルナヤだけでなく、3種類の4回転を4本跳ぶトルソワ、4回転ルッツを2本跳ぶシェルバコワが紀平のライバルとなる。 紀平も「今季の中でも非常に激しい戦いになると思います。ファイナルに向けてしっかり4回転サルコーの練習を頑張って、ショートとフリーともに今大会以上の演技ができたらいいなと思います」と気を引き締める。紀平は“ロシア最強3人娘”と勝負できるのか。 中庭氏は、「4回転サルコーを入れた後、演技全体に、どんな影響を与えるかが未知数ですが、紀平さんはロシアの3人と十分に勝負できるでしょう。まずSPでトリプルアクセルを跳べるのが優位点です。ここに対抗できるのはコストルナヤ一人です。フリーでは、トルソワ、シェルバコワは4回転ジャンプを複数成功させ、160点近く出していますが、SPでの得点で差をつけ、4回転は1本でも、今季かなり安定してきたトリプルアクセルを2本持つ紀平さんには、十分に勝負できる可能性があると見ています」と予想する。 注目のGPファイナルは12月5日にトリノで開幕する。