まったく新しい「正倉院体験」とは?「正倉院『THE SHOW』-感じる。いま、ここにある奇跡-」が大阪・東京で開催
世界的に希少な品々が約1300年の時を経てもなお良好な状態で保存されている「正倉院」とその「宝物」を、これまでとは異なる新しいアプローチで「感じる」「楽しむ」展覧会が、宮内庁正倉院事務所全面監修のもと、大阪・関西万博を機にスタートする。なぜまったく新しい正倉院展を開催することとなったのか?担当者に話を聞いてみた。 【写真】このような模造展示と最新のデジタル制御による映像・音楽・照明との組み合わせで新たな鑑賞体験が楽しめる(写真は模造 螺鈿紫檀五絃琵琶) ――「正倉院『THE SHOW』-感じる。いま、ここにある奇跡-」について、意図や狙い、目的、ターゲットなどを教えてください。 正倉院をご存じの方から、「教科書で見たきり」という方、そして、歴史や美術がお好きな方、「新しいタイプのイベントに行きたい」という方など、幅広いお客様にお越しいただき、正倉院と宝物の奇跡を五感で楽しんでいただきたいと考えています。 ――「正倉院『THE SHOW』-感じる。いま、ここにある奇跡-」のイチオシのポイントを教えてください。 以下の点が本展ならではの新しいアプローチであり、イチオシのポイントです。 ◎最新のデジタル制御による映像・音楽・照明と、宮内庁正倉院事務所が研究・製作を進めてきた「再現模造」の数々(現代の名工たちが宝物本来の姿を精巧に再現した作品群)のコラボレーション ◎宝物の高精細3Dデータを活用した演出で、宝物の細部や質感をリアルに紹介 ◎“今”活躍するさまざまな分野のアーティストが正倉院の美や歴史をテーマに手掛ける新作の展示 ◎気鋭のクリエイター陣による言葉・音楽・空間演出 ◎会場内はフォトスポットに限らず写真撮影およびSNS投稿が可能 ――「正倉院『THE SHOW』-感じる。いま、ここにある奇跡-」というアイデアはどのようにして生まれましたか?また、その実現に向けて苦労した点などあればそれをどうクリアしたか、あわせて教えてください。 世界的に希少な品々が約1300年の時を経てなお良好な状態で伝えられている「正倉院」とその「宝物」の奇跡を、これまでとはまったく異なる新しいアプローチで「感じる」「楽しむ」展覧会を開催すべく、今回のアイデアが生まれました。上記2点を実現するための具体的な展示手法が最も趣向を凝らした点です。 ――大阪・関西万博を機にスタートされるとのことですが、なぜ大阪・関西万博を機にスタートすることとなったのでしょうか? 世界の英知を集めたこの祭典の会期中は、関西地域に国内外から多くの人が集まると想定されます。この機会に、世界的に希少な品々を極めて良好な保存状態で伝えた「正倉院」とその「宝物」の美しさ、歴史や保存継承への努力、そして、宝物を未来に伝える意義について、理解を深めてもらうことを目指しています。 ――現在発表されているのは大阪会場と東京会場のみですが、今後会場を追加する予定はございますか? 決定次第、ウェブサイト等でお知らせいたします。 ――読者へのメッセージをお願いします。 正倉院展は毎年秋に開かれていますが、本展は、実物の展観とは異なるアプローチで皆さまが体験したことのない宝物の楽しみ方をご提案する試みとなります。最新のデジタル技術を駆使した手法を通して、宝物の魅力をより深く味わっていただけますと幸いです。 ■開催概要 展覧会名:正倉院「THE SHOW」-感じる。いま、ここにある奇跡- 会期・会場 大阪会場/大阪歴史博物館 2025年6月開幕予定 東京会場/上野の森美術館 2025年9月開幕予定 主催:正倉院「THE SHOW」実行委員会 監修:宮内庁正倉院事務所 ※詳細は2025年4月ごろ公式ウェブサイト等にてお知らせ 人々の想いを伝え続けてきた正倉院の宝物を大阪・関西万博のタイミング楽しむことができる。正倉院になじみがない人も、興味がある人も、新たな正倉院展を訪れてみてほしい。 文=岸遥南