スカイツリー、横浜マリンタワー、通天閣…全部同じ地図記号だった!明治から現代まで、<高塔>記号の変遷をたどる
◆有名な高塔 あらためて有名どころの高塔を「地理院地図」(国土地理院のサイト)で閲覧してみると興味深い。 まずは最も高い東京スカイツリー(高さ634メートル=ム・サ・シと覚える)であるが、東西に細長い東京スカイツリータウンのビル(独立建物の記号)のまん中にツリー下部の平面形である三角形が描かれ、その上に展望台の円形(高層の独立建物の記号)が重ねて記されており、その全体を覆うように通常よりはるかに大きな高塔記号が重ねられている。 スカイツリーの先輩格たる東京タワー(昭和33年竣工、高さ333メートル)も塔の下部に建つビル(独立建物記号)に重ねた大きな高塔記号だ。 東京タワーより4年古い名古屋のテレビ塔(高さ180メートル)は、約100メートルの幅員を誇る久屋(ひさや)大通の緑地のまん中に聳えているため、大きめの高塔記号だけが描かれている。下にビルはないのでスケルトン的な印象だ。 大阪の通天閣はこれらよりずっと古いが現在は2代目(昭和31年竣工・高さ108メートル)で、市道を跨いでいるので2条線の道路記号の上を高塔記号が覆っている。 ちなみに初代の通天閣は明治36年(1903)に開かれた第5回内国勧業博覧会の会場跡地に造られ、「新世界ルナパーク」のまん中にパリのエッフェル塔に似せた高さ75メートルの塔として明治45年に建設された。 直下の映画館で起きた火災により強度不足となった後、戦時中の昭和18年に撤去されている。 現在の平成25年図式以来、高さ60メートル以上の縛りができたため、高塔記号の使用頻度は大幅に下がったが、以前はかなり低いものもその仲間に入っていた。 低い塔が図に表記されるための規定としては、たとえば平成14年図式に「目標物の少ない地域における火の見櫓及び給水塔」というのがあった。 火の見櫓といえば、低いものなら10メートルに満たないものもあるが、「目標物の少ない地域」では良い目印で、これは地形図を持って田舎道を歩いた人なら実感するところだろう。 寺の五重塔などは、高さの目安からは除外されていると思い込んでいたが、今は60メートルでバッサリ切られている。 木造では京都の東寺(教王護国寺)の五重塔が最高で54.8メートル、次点の奈良・興福寺の五重塔も50.1メートルだから惜しくも記号化されていない。