「再雇用」選ぶなら 自分で「雑用・パソコン・コミュニケーション」定年後の3つの選択肢とポイント
【年金世代・予備軍「シニアの居場所」】 定年退職後も働き続けたいミドルシニア層には「再雇用」「再就職」「独立・起業」の3つの選択肢があります。どれを選択すればいいのか迷う人も多いことでしょう。そこで、 『定年を楽園にする仕事とお金の話』(ぱる出版)を書いた高伊(たかい)茂さん(75)に話を聞きました。 高伊さんは大手金融機関を早期退職し、現在は社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ〝セカンドライフ専門家〟として全国を駆け回っています。 高伊さんは「独立・起業」を選んだわけですが、「3つの選択肢」で迷うミドルシニア世代の人には次のようにアドバイスします。 「多くの人は再雇用を選ぶでしょう。しかし私は、再雇用を選ぶ人は少なくとも次の3つの行動基準を満たすべきだと考えます。ひとつは『雑用は自分でやること』。今まで部下に頼んでいたファクスやコピー、電話業務などの雑用は自分で行う必要があります。同じように『パソコンも自分でやること』。パソコンに不具合が起きたら自分でコールセンターに電話するか自分で検索して調べる。もちろん資料を作るのも自分です」 もうひとつは何でしょうか? 「これが難しい。『コミュニケーションは自分からとること』です。今まで役職についていた人が、元部下の下で仕事をすることもあります。みんな年下です。それでも、自分が一番下っ端だと思って、自らコミュニケーションをとり、うまくやっていく必要があります。再雇用というのは、一夜にして高給取りの元請けから安月給の下請けに変わるようなものです。しかも期限付きです」 それではなかなかモチベーションが上がらない気がします。 「それでも、頼まれたことは嫌な顔をせず引き受け、任期がきたら感謝をして去る。こういう人が再雇用を選ぶべきだと思います」 そう言われると、高伊さんのように資格を取って再就職にチャレンジする方がいいようにも思えてきます。 「中小企業は人材が不足していますから、再就職の方が65歳を超えても働き続けるチャンスはあるでしょう。しかし、相応のスキルが必要ですし、実は人脈も重要です。実際に60代以降で再就職した人のほとんどが縁故、つまりコネによって採用を得ているというデータもあります。スキルを持ち、そのうえで自分を引っ張ってくれる人がいれば再就職も現実的な選択肢でしょう」