【おむすび】避難所シーンにリアリティー NHKが取材で決めた被災者の気持ちと向き合う覚悟
避難所の映像はざわついた雰囲気など臨場感がにじむ
避難所の映像は日が暮れるとランプの灯りだけで人の顔が分からないほど暗いとか、廊下も人であふれ、ざわついた雰囲気など臨場感ある映像になっている。 「とにかく取材を重ねました。当時、避難所(学校)の管理をしていた先生や市役所の職員、地域のリーダーといった人たちに撮影現場に来てもらい、当時の状況をインタビューしました。『今、地震発生から3時間後です。3時間後の状況はどうでしたか。カーテンは開いていましたか、ストーブはどうでしたか、窓ガラスは、張り紙はどれくらい落ちていましたか』と、時系列を追って一つひとつ聞きました。一つの文献ですべてが分かることではありませんので、そういった方々の多大な協力があり撮影に臨むことができました」 当時、実際に避難所にいた人たちの話に驚き、作品に取り入れたこともあるだろうか。 「実は地震発生から2、3時間後くらいの実際の映像はすごく少ないんです。これまでのドラマも震災からしばらく時間が経過した後を描いた作品が多いです。そんな中、取材で聞いた話ですが、当時の避難所の被災者の方々はちょっと興奮気味というか、おのおのが思い思いにしゃべりまくっていたそうです。私はショックで暗い顔でうなだれているとか泣いているとか、悲鳴という光景を想像していましたが、ある種そう状態というのが意外でした。そのあたりは少し反映できているかなと思います。あと印象的だったのは配給がなかなか来ないこと。1日たっても翌朝はバナナ1本とか、地震当日は水さえ飲んでいないとか。1日、2日目の配給が本当に少なかったという話が意外でした」 一度取材が終わった後、松木氏はまだ印象的なエピソードがあるとして紹介してくれた。 「地震直後から皆さん、避難所のことは自分たちの力で何とかするんだという思いが強く、その思いから発揮された知恵と工夫にすごく感動しました。避難所でのルールを作ったり、食料を自分たちで集めたり、支援が来る前に被災者自ら動いていました。震災4、5日目には名簿を作り、段ボールを使って居場所を区分けするとか自分たちでやっていました。そこはドラマでもしっかり描きたいと思いました」
ENCOUNT編集部