【都市化の残像】旭日の東京駅「日本人は驚いても走り出さなくなった」
そして近年、戦争で焼け落ちて簡易な屋根となっていた東西のドーム屋根が復元された。 なかなか美しい。ドームの中に入って天井を見上げれば、周囲に愛らしい干支のレリーフが施されている。 こうしてみると、皇居の正面となる部分よりも、南北の翼に重点が置かれているように思う。設計者は、政府の意図を受けて皇居に正面を向けながらも、両翼から訪れる人々をこそ、美しいドームで迎えようという気持ちがあったのかもしれない。 今の日本人はこれを帝国主義とは無関係の文化財と受け止めている。建築の意味は、時代によって変わるものだ。さらに免震構造化することによって、過去の歴史から切り離された浮遊感も感じられる。 現在、日本でもっとも魅力的な建築の一つであると言っていい。僕もこの建築が好きだ。 それにしても日本人は、最近驚かなくなった。 驚いても走り出さなくなった。