韓国大統領の弾劾可決で対日政策の行方は 罷免、政権交代で「反日」加速?若者はどう思っているか
韓国・尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾決議案が2024年12月14日、韓国国会で可決された。尹大統領は職務停止となり、180日以内に憲法裁判所が罷免するか否かを判断する。 尹大統領は「徹底抗戦」の構えだが、罷免されれば大統領選となる。最大野党「共に民主党」が政権奪取する可能性は高い。大統領に最も近い、党代表の李在明(イ・ジェミョン)氏は対日強硬派として知られる。対日外交方針を、大きく切り替えるかもしれない。 ■処理水反対掲げハンスト 尹大統領は2022年5月の就任以降、元徴用工問題の解決に向けて動き、また北朝鮮対応のため日米韓3か国の連携強化を続けていた。岸田文雄前首相とは頻繁に会談し、冷え込んでいた日韓関係の改善を主導した。 一方の李在明氏。日本に対してはこれまで、歴史問題で厳しい姿勢を取り続けてきた。近年では、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に強く反対し、抗議だとしてハンガーストライキを実行した人物だ。 一方、こんな報道もある。12月14日付の毎日新聞(電子版)によると、1回目の弾劾決議案(7日採決、廃案)には、尹大統領による「親日外交」を批判する内容が盛り込まれていたが、2回目の案では削除されたというのだ。 可決には、与党「国民の力」から少なくとも8人が賛成に回る必要があった。記事では、削除された内容は「『弾劾事由とは無関係だ』などの指摘が国内外の専門家から出て、与党が弾劾に賛成しない理由の一つにもなりかねなかった」としている。 そして、弾劾案を「弾劾事由と直接関係のある内容に絞って」作成し直すよう指示したのが、李氏だったという。
韓国人の対日感情「良い」2013年以降で最高に
尹政権下では、韓国人の対日感情は改善していた。韓国のシンクタンク・東アジア研究院は24年9月19日、18歳以上の韓国人1006人から回答を得たアンケート調査結果を公表。日本の印象を「良い」と答えたのは41.7%で、13年以降最も高い数字だった。一方「悪い」は42.7%で、逆に13年以降最も低い。 同調査によると過去5年間では、文在寅(ムン・ジェイン)政権下の20年、対日感情が最も悪化していた。「良い」が12.3%、「悪い」が71.6%だった。 韓国の有力紙・朝鮮日報(電子版)は24年8月15日、東北アジア歴史財団の世論調査結果として、「25~29歳の韓国人男性の74.8%が日本に好感を持っていることが分かった」と報じた。7月22~30日、韓国の満18~39歳の男女1000人を対象に行われた調査だという。 18~39歳の年齢幅でも、日本の好感度が高いと答えたのは57.3%と6割に迫った。 ただ、日本との関係改善を進めてきた尹大統領が罷免されれば、次期政権の外交戦略が変わる可能性はある。好転していた韓国民の対日感情がそのまま維持されるかは、不透明だ。