シャネルが高級時計への投資強化 ジュネーブの時計ブランド「MB&F」の株式を取得
「シャネル(CHANEL)」が、スイス・ジュネーブの時計ブランド「マキシミリアン・ブッサー&フレンズ(MB&F)」の株式25%を取得した。パートナーシップ締結後も、MB&Fの創業者マキシミリアン・ブッサー(Maximilian Busser)氏は株式60%を、同氏のビジネスパートナーでR&D(研究開発)と生産責任者を担当しているセルジュ・クリクノフ(Serge Kriknoff)氏は株式15%を引き続き保有し、MB&Fを率いる。
MB&Fは世界初の時計コンセプトラボとして2005年に設立。時計製造のプロフェッショナルを集め先鋭的なウォッチのデザインと製作に取り組み、小規模で展開し、現在は年間約3500本を製造している。「ジュネーブ時計グランプリ(Grand Prix d'Horlogerie de Geneve)」では最高賞である「金の針賞(Aiguille d'Or)」を含む9つの賞を受賞。これまで独立企業として経営し、2023年の売上高は4540万スイスフラン(約78億円)だった。 シャネルは、高級時計メーカーでは2011年に「ローマン ゴーティエ(ROMAIN GAUTHIER)」、2018年に「フランソワ・ポール・ジュルヌ(F.P. Journe)」に出資。これらに続くMB&Fへの投資は、シャネルにとって「高級時計のスペシャリストが持つノウハウを守り発展させるという長期的な戦略」と位置付ける。 シャネルの時計・宝飾部門社長のフレデリック・グランジェ(Frederic Grangie)氏は、「独立性、創造性、卓越性という同じ価値観を共有するMB&Fと戦略的パートナーシップを締結できたことを嬉しく思います。今回の発表は、専門的なノウハウと専門性を守り、発展させ、投資し続けるというシャネルの長期的な戦略の一環であり、高級時計製造におけるシャネルの地位を再確認するものです」とコメント。 MB&Fの創業者マキシミリアン・ブッサー氏は、シャネルとの提携を「来年20周年を迎える企業にとっては当然の進化」と表現。「私たちが成長へのプレッシャーから解放され、独立した道を歩むことを可能にするだけでなく、より幅広いエコシステムと専門的なサプライヤーのネットワークに必要な時にアクセスできるようにすることで、私たちの事業を強化するものです」と続け、前向きな姿勢を示している。