ひたすらネガティブな独り言をつぶやく「ハムレット」 主人公がほぼ“ツイ廃”なのに名作になった理由
『スペインの悲劇』では、劇中劇は復讐の手段として利用されますが、『ハムレット』では、劇中劇が真実を暴くための重要な場面として描かれていて、ハムレットの葛藤をさらに深める要素として機能します。 同じ手法が使われているのに、物語におけるキャラの性質が変われば全く意味や質が変わるんですね。『ハムレット』の劇中劇はすごくスリリングで、観る者をグッと惹きつける物語の山場となっているので、ぜひ読んで/観てみてください。
うじうじ悩み続ける主人公をひたすらに描く『ハムレット』は、「文学のモナ・リザ」とも言われ、シェイクスピアの最高傑作とされます。時代の変化を見据えた作品とさえ言われます。かっこいい英雄的主人公をドラマティックに描くのではなく、等身大の人間が苦悩するさまを徹底的にリアルに描いたからこそ、時代を超えて現代の私たちにも響く内容になったのです。
木村 龍之介 :演出家