112年の歴史を塗り替えた近代五種・佐藤大宗。競技人口50人の逆境から挑んだ初五輪「どの種目より達成感ある」
競技人口わずか50人。知られざる近代五種の魅力
――今大会の佐藤選手のご活躍で近代五種に興味を持った方も多いと思いますが、この競技の一番の魅力は何だと思いますか? 佐藤:性質がまったく異なる5種目を、90分間にこなすというのは、近代五種ならではのルールだと思います。キング・オブ・スポーツとも呼ばれていることを誇りに思っていますし、実際に「こんなにかっこいい種目はないんじゃないかな」と思っています。性別関係なく、男女ともにやっている選手たちはかっこいいですし、達成感はどの種目よりもあるんじゃないかと思います。 ――近代五種は、どんな人に向いている競技だと思いますか? 佐藤:どんな人でもやれる種目だと思いますよ。5種目全部が得意になれば一番強いですけど、そんな人はほとんどいないです。たとえばフェンシングが得意で水泳が苦手な人だったら、フェンシングで点数を稼いで、水泳はちょっとだけ頑張った上で逃げ切る、という戦略もあります。そういう得意・不得意が人によって違うので、誰でも挑戦できる競技だと思います。 自分が近代五種を始めた当初はメンタル面もかなり弱かったんですが、競技を始めてメンタルトレーニングもするようになってから、いろいろな面で前向きに捉えられるようになり、忍耐強くなりました。だから、もともと気持ちが弱い人でも向いていないということはないですし、5種目にチャレンジしながらメンタルや人間性を磨ける種目なので、ぜひいろんな方に興味を持ってほしいですね。 ――日本ではこれまでは国内競技人口が男女合わせてわずか50人ほどだったそうですが、今後、競技がどのように発展してほしいとイメージしていますか? 佐藤:全日本選手権は予選と決勝という流れで、競技人口が少ないので、決勝の舞台でも最大18名しか出られない状況でしたが、人数が増えれば、予選、準決勝、決勝という流れになり、さらに大会のレベルや競争力も上がると思います。そのためにも、男女合わせて50人ほどの競技人口を、まずは200人ぐらいに増やすことが目標です。そこから1000人、2000人、3000人と、さらに増やしていけたらと思っています。