F1最強チームが「市販車」導入へ 1250馬力のV8ハイパーカー年内発表 レッドブル “伝説的技術者” が主導
50台限定生産 公道走行も可能に
英国に本拠地を置くレーシングコンストラクター、レッドブル・レーシングは今年後半に新型ハイパーカー「RB17」を発表する予定だ。F1マシンの伝説的デザイナー、エイドリアン・ニューウェイ氏が開発を担当している。 【写真】レッドブルも開発に携わったハイブリッド・ハイパーカー【アストン マーティン・ヴァルキリーを写真で見る】 (26枚) 最高出力1250psという驚異的なパワーを誇るマイルドハイブリッドV8ツインターボエンジンを搭載し、価格は500万ポンド(約9億7000万円)と言われる。主にサーキット走行に焦点を当てて開発中だ。 ニューウェイ氏は2025年初頭にレッドブルの最高技術責任者(CTO)を退任する予定で、現在はRB17の「開発と納車に集中」しているという。レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ(RBAT)のクリスチャン・ホーナーCEOは、RB17について「ニューウェイが解き放たれた」と表現している。 65歳のニューウェイ氏は以前から、モータースポーツの規則やロードカーの法規制に縛られないクルマを作りたいと考えており、それがレッドブルRB17のプロジェクトにつながった。 ホーナー氏は以前の取材で、購入者が希望すれば現地の法規制に対応させ、公道走行を可能にすると語っていた。 年間15台のペースで計50台の限定生産が計画されている。そのほとんどはすでに販売済みだ。
規制に縛られない「理想」のクルマ
ニューウェイ氏はアストン マーティンのハイパーカー、ヴァルキリーの開発に携わったことがある。そこからRB17の開発着手は自然な流れだという。 RB17プロジェクトが始動した経緯について、ホーナー氏は取材で次のように語っている。 「エイドリアンは2014年に(レッドブルのために)クルマを作りたいと言っていましたが、タイミングよくその道筋が見つかりました。レッドブルはアストン マーティンとパートナーシップを組み、ヴァルキリーのすべてのデザイン作業を担当したのです」 「ヴァルキリーは素晴らしいクルマで、大成功すると確信しています」 「RBATの8年近い活動の中で蓄積された知識は非常に多い。F1のバジェットキャップ(予算制限)の時代にあって、リソースを維持するためには、その存在を正当化できるプロジェクトが必要です。これは我々のスキルを活用する完璧なプロジェクトであり、F1活動を妨げるのではなく、むしろ補完することになるでしょう」 RBATのテクニカル・ディレクターであるロブ・グレイ氏によると、RB17は主にレッドブル社内で生産され、ガラスなど一部部品は外注されるという。 「RB17とF1マシンの間には、設計に使われる一般的なエンジニアリングという点で多くの共通点があります。このクルマのコアとなる部分は、ほとんど社内で作ることができます。そのため、このような少量生産にしたんです」とグレイ氏は言う。 パワートレインについては、「ハイブリッドは内燃機関を支配するのではなく、補完するために使いたい」とした。 詳細は明かされていないが、マイルドハイブリッドV8エンジンは “サードパーティーによって我々の仕様で” 生産されるとのこと。F1パワーユニットを手掛けるレッドブル・パワートレインが生産するものではないようだ。