DeNA宮崎（左）と梶原

　いよいよ開幕する日本シリーズ。日本一をかけた戦いはDeNA、ソフトバンク、どちらに軍配が上がるのか？　日刊スポーツ評論家陣の宮本慎也氏（53）がシリーズの行方を占った。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　シーズン中の戦いぶりに拍車をかけて、その強さを見せつけたソフトバンクの優位は揺るがないだろう。CSファーストで、エースの伊藤を温存して勝ち上がった日本ハムを力でねじ伏せた強さは、驚異的に映った。対するDeNAは3位から勝ち上がり。勢いはあるだろうが、幾つかの条件がそろわないと、ソフトバンクに勝ち越すのは難しいと思う。 　ここではあえて、DeNAが勝つにはどうなればいいのかを探ってみたい。まずはストロングポイントでもある強力打線が、CSで戦った8試合の疲れを取り除き、コンディションを整えること。打ち合いの展開に持ち込み、その中で1点でも相手より多く得点を奪う。CSで調子がいまひとつだった宮崎、梶原がどこまで復調するかがカギを握るだろう。 　勝ち越すためのもうひとつの条件は投手力。ジャクソン、ケイ、浜口の先発陣で、この3投手は“荒れ球”を武器にするパワーピッチャー。悪い時は四球で崩れるが、この手のタイプは“はまる”と実力以上の力を発揮できる。 　目が離せないのは立ち上がりだろう。特にケイと浜口は立ち上がりが悪い。しかし、相手打線が必要以上に「最初は制球が悪いからボールを見極めていこう」となったとき、力のある球が威力を発揮する。強力ソフトバンク打線でも、積極的になりすぎてボール球に手を出したり、逆に慎重になって打てる球を見逃したり打ち損じたりしていると、尻上がりに調子を上げてくる。 　DeNAベンチからすると「計算しにくい」というデメリットはあるが、裏を返せば相手からも「計算できない」というメリットもある。短期決戦はいいリリーフを早めの継投でどんどんつぎ込んでいくのがセオリーだが、この3人の投手の調子を見極めて、引っ張れるときはできる限り引っ張る。継投のタイミングが勝負を分けると思う。 　登板間隔を詰めて使えるジャクソンが初戦で先発、ケイも2、3戦目のどっちでいっても、もつれれば2人で4試合に先発で起用できる。そして1試合の先発になるだろうが、浜口をどこで起用するか。そこにケガでCSの初戦で離脱した東が、日本シリーズ期間に投げられれば勝機はある。 　ソフトバンクで少し気になるのは、離脱期間が長かった柳田の状態。シーズンを通して活躍した山川とケガで離脱した近藤は、CSファイナルの動きを見る限り心配ないが、やはり柳田のスイングはいつもの迫力がなかった。 　6戦目か7戦目までもつれたならDeNAにも勝機が生まれるが、短い試合数で決まるならソフトバンク。中身の詰まったスリリングな勝負を楽しみにしている。（日刊スポーツ評論家）