「たった1分で認知症の診断ができるアプリ」「世界の名医の手技をVRで学べる」…いま医療現場で進む「デジタル化」がすごすぎた!
他の疾病にも応用できる可能性
「このアプリは、昭和大学、金沢大学の協力を得て開発しており、約300例の自由会話データを集めて開発されたもので、AIが声の抑揚、安定感、震え、無言の時間の長さなどを分析します。認知症以外にも、人の声を分析する事で、うつ病など他の疾病にも応用できる可能性があります。 また、使用するデバイスをスマホにこだわったのは、誰でも気軽に抵抗なく使用できるようにすることで、認知症に至る前の段階(軽度認知障害:MCI)で発見し、早期治療に繋げるためです。認知症は早期に発見すれば薬の効果もでやすく、回復することも期待できるため、早期に見つけることが何よりも重要であるとされています」 AIの開発に協力している昭和大学脳神経内科の黒田岳志医師が補足する。 「2023年12月、新たな認知症治療薬『レカネマブ』がアルツハイマー病に対する保険適用を受けました。この薬は、脳内に蓄積するアミロイド蛋白を分解・除去し、アルツハイマー病による軽度認知障害や軽度の認知症の進行を抑制する効果が期待されています。 この治療は早期に始めるほど効果が見込めるため、軽度認知障害の段階での受診が重要です。認知症が進行してしまうと神経細胞が失われ、治療の効果が制限される可能性があるからです。 しかし、実際は多くの方が生活に支障が出るまで受診せず、認知機能の低下が進行してしまうケースが少なくありません。この点で、早期発見をサポートするアプリの普及が期待されています。このアプリの大きな利点は、専門的な指導なしでセルフチェックが可能であり、データの蓄積も自動化されているため、入力の手間が省けることです。これにより医療従事者もより多くの患者に対応できるようになります。 一方で、このアプリの使用には、個人の話しやすさやその日の集中力、気分によって結果にばらつきが出る可能性があるという課題もあります」 確かに1分間のフリートークと言われると、アナウンサーの就職試験のようで、話が得意な方が有利のようにも思えるが、ExaMDの羽間さんによると、近い将来、この時間は半分に短縮され、30秒ほどで診断できるようになるそうだ。 コロナ禍のステイホーム政策で、社会や友人たちとの関係が薄くなり、隠れ認知症予備軍は増加しているという。最近、人の名前がなかなか出てこないなど、物忘れが激しいと思われる方にとって、医療機関に足を運ばずとも認知症の早期発見が叶う便利なツールとなるだろう。