乾貴士を変えた「人生最高の宝物」スペイン・エイバルの3年
初陣となった先月30日のガーナ代表とのワールドカップ壮行試合でも、ピッチに立てないまま敗戦を見届けた。入れ替えはあるのかとメディアから問われた西野朗監督は首を横に振り、ロシアの地に臨む23人のなかにその名前を書き込んだ乾にこう言及したことがある。 「他の日本人選手にはいないタイプなので」 指揮官が復帰を待ち続けた理由がすごみを増したドリブルと、スペインで身につけた守備戦術にあるのだろう。先発した場合は両方をバランスよく発揮し、ジョーカーとして途中出場した場合は攻撃力をより前面に押し出すことができる。 答えは12日のパラグアイ代表とのテストマッチで決めた、西野ジャパンの初ゴールを含めた2発。そして、まだ鮮明に記憶に残っている24日のセネガル代表戦の鮮やかな同点ゴールだった。再びリードを許して迎えた後半33分には、MF本田圭佑(パチューカ)の同点弾もアシストしている。 新シーズンからはスペイン第4の都市、セビリアに本拠地を置くレアル・ベティスへの移籍が決まっている。新天地へ羽ばたく前に、30歳にして初めて臨んでいるワールドカップの夢舞台で、西野ジャパンをグループリーグ突破へ導く大仕事が乾を待っている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)