欧州挑戦も半年で契約解除「無職の2か月」 身重の妻と離れ…渡った先の壮絶な過去【インタビュー】
15年夏にサラゴサへ移籍もわずか9試合で契約解除…長谷川が回顧したスペインの経験
J3ガイナーレ鳥取で最年長の元日本代表MF長谷川アーリアジャスールは11月7日、クラブを通じて今シーズン限りの現役引退を発表した。そんな長谷川は、これまで数多くのJリーグクラブに加え、スペイン2部に挑戦した経験がある。恩師に呼ばれチャンスを掴んだのも束の間、半年で契約解除となった激動の移籍を振り返ってくれた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也) 【写真一覧】”美男美女”がずらり! Jリーガー・海外選手の「美人妻&美人パートナー」まとめ ◇ ◇ ◇ 長谷川は横浜F・マリノスのユースから2007年にトップチームに昇格。その後12年からFC東京へ渡り、恩師ランコ・ポポヴィッチ氏と出会う。14年にはポポヴィッチ氏が新たに就任したセレッソ大阪に完全移籍。15年7月には恩師に呼ばれ、スペイン2部レアル・サラゴサへ渡り海外クラブ初挑戦となった。 しかし公式戦9試合の出場にとどまり、ポポヴィッチ氏解任の影響もあって長谷川も約半年で契約解除となってしまう。「プレーした半年間も濃かったですけど、その後の2か月もまた無職っていう期間がありました。その2か月の方がもしかしたら濃い時期を過ごしたかもしれないですね」と当時に思いを馳せる。 長谷川は現地で他クラブのオファーを待つ空白の2か月を過ごしたのち、16年3月に湘南ベルマーレへ移籍。日本でキャリア続行を選んだ。苦しい時間も多かったと明かしたが、それでも「27歳のタイミングで初めての海外挑戦でした。すごく自分のサッカー人生のなかでも良い経験をさせてもらいました」と、今ではその過去がプラスに生きていることを実感している。 「選手としてやっぱり初めて海外へ行ってもっと長くキャリアを築きたかったですけど、そう簡単には上手くいかず……。でもそれってやはり行ったことでそういう経験ができたと思うんです。セレッソにいた時の方が条件も良かったですし、僕にはその時家族もいて妻も妊娠中でした。自分の夢を追いかけた結果が、いい結果につながったらもっと良かったですけど。行ったことに後悔はないですね」 その後長谷川は湘南、大宮アルディージャ、名古屋グランパス、FC町田ゼルビアと渡り歩く。だが22年のシーズン終了とともに町田と契約満了となり、そこからフリーの状態が約半年間続いた。翌年4月に代理人経由で声がかかったのが、現在も在籍する鳥取だった。 長谷川は「スペインが人生にとって凄くいい経験だったからこそ、ガイナーレ前の期間も乗り越えられたと思っていますし、すべてにやはり意味はあるんだなとは思います」と自身の糧となった経験を振り返る。クラブでもその体験を、後輩とのやり取りのなかで答えたりしながら、自分なりに還元。「押し付けるというよりはその悩みを聞きながらそれに対してアドバイスできたらいいなという話し方はすごい意識していますね」と、長谷川ならではの気遣いもあふれている。