ネットで経済ニュースを読んでも、賢くはならない
情報のプロ今でもニュースを”紙”で読んでいる
ですから、もしあなたが「経済に強くなりたい」と思っているのであれば、ポータルの経済記事は「暇つぶし」と割り切って利用すべきです。あるいは、つぶすほどの暇があるなら、新聞や雑誌、書籍などに触れる時間を増やす方が、ずっと投資効率がいいともいえるでしょう。 しかし、こういうと読者の中には「でも、ニュースを紙で読むなんて馬鹿げてない?」と、疑問を持つ人が多いのではないでしょうか。あの、見出しと記事がモザイクのように詰め込まれた、ごちゃごちゃした紙面を見て当惑したことがある人は少なくないはずです。ネットの方が速報性は高いし、ずっと便利に見えます。 ところが、私が記者時代に取材していた大企業の幹部や高級官僚、政治家などは基本的に新聞を「紙」で読んでいました。もちろん、そうした人たちは中高年なので、若い世代に比べ紙メディアに慣れているということはあるでしょう。 しかし、理由はそれだけではないのです。実際、企業の広報部門やシンクタンクなどで情報分析のプロになる人たちは、今でもまず「紙面の読み方」を学びます。ネットにはなく、紙面にはある情報がたくさんあるからです。 「情報のプロがニュースを紙で読んでいる」と聞くと、驚く人が多いのではないでしょうか。しかし、これはまぎれもない事実です。実は、一般の市民に比べ情報リテラシーが高い人たちが、新聞をあえて「紙」で読んでいるのです。 次回はそれがなぜかを解説したいと思います。この記事を読んで興味を持った方は、それまでに理由を推理してみてください。 (報道イノベーション研究所・代表取締役・松林 薫)