黒岩祐治・神奈川県知事に聞く(全文1)女性働きやすさ支援で人口減に歯止め
「M字カーブ」の落ち込み対策 待機児童ゼロ目指す
ただ、それと同時に、やっぱり子供を産みたくなる環境ですね。これは非常に大事なことだと思います。神奈川県の場合、残念ながら、M字カーブの落ち込みが深い。 これはどういうことかというと、女性を年代別にずっと追いかけてみたとき、結婚適齢期というようなところにきたときに、働いている女性がやっぱり少なくなるのです。結婚、そして出産を機にちょっと減るという、しばらくすると、またそれが子育ても一段落して、また戻ってくるという、大体こうなるとM字という形になるのですけれども、この落ち込みが神奈川の場合、非常に激しいのです[グラフ2]。 ということは、子供を産んで、そして働きたいと思ってもなかなか働きにくい環境があるということですね[イメージ1]。これはやっぱりゆゆしき事態だなということで、何とか支えていこうと。女性が子育てをしながらも働きやすい環境づくりを一生懸命頑張っているところです。 そんな中で、例えば、待機児童ゼロを目指す。県内各地でも待機児童ゼロを早くも実現したところもありましたけれども、これを神奈川県全体としても、待機児童ゼロを目指すためにあらゆる政策をやっています。
“岩盤規制”を突破する役目・国家戦略特区を利用し、地域限定保育士提案
我々が提案したのは、神奈川県全体が国家戦略特区に選ばれている。この国家戦略特区を利用して、年1回だった保育士の試験をもう1回やろう、この“もう1回”を、地域限定保育士という形で提案をいたしました。これは資格を取って3年間は、神奈川県だけで通用する資格ですけれども、それを過ぎると、全ての都道府県、全国で使える資格になるという地域限定保育士、これを提案し実現をしました。 この地域限定保育士によって、1年間で1330人の保育士が増えたんですね。目に見える効果があったんです。そうしたら、今度は、国が、地域限定保育士って、もう1回やるんだったら、もういっそのこと保育士の試験を年2回やっちゃおう、ということで(通常の保育士試験も)年2回になっちゃったんですね。これがまさに、“岩盤規制”を突破するドリルの役目という国家戦略特区の使命を果たしたというふうに私は思っているのです。 ただ、神奈川県の場合にはもっと貪欲に、じゃ3回目の試験を地域限定保育士でやろうということで今準備を始めている、そういったところですね。保育士が増えてくると、また、保育士がその仕事に対して皆さん注目をしてくださいというようなことをキャンペーンもやっていますから、そうすると、この待機児童ゼロに向かって進んでいくということになる。これに大きく期待をしているところです。