黒岩祐治・神奈川県知事に聞く(全文1)女性働きやすさ支援で人口減に歯止め
昨秋公表になった国勢調査から、日本が人口減少局面に入ったことが明らかになりました。しかし一極集中が指摘される首都東京を中心とした東京圏では、まだ人口増が続いています。 では、東京圏の首長は、現在どのような課題を抱え、やがて始まる人口減少社会にどのようなビジョンを持っているのでしょう。神奈川県の黒岩祐治知事に人口減がもたらす問題点やそれに対する施策、未来像などを尋ねました。(2017年6月取材)
人口増の大都市と人口減少が著しい地域を抱える
── きょうは、どうぞよろしくお願いいたします。 よろしくお願いします。 ── 最初に、神奈川県の人口の現状をどのように把握しているか、お聞きします。日本の総人口が国勢調査で減少に転じたことが問題になっています。地方の首長からは、東京圏への人口集中に話がいくのですが、黒岩知事は首都圏の知事として、人口減少についてどのような考えを持ち、神奈川県の現状をどう見ているか、そこから話を伺いたいと思います。 わかりました。神奈川県全体を見ますと、まだ人口は増えていますね。ところが、その中をじっくり見ると、地域によって全然違います。横浜とか川崎という大都市はどんどん人口が増えていますね。ただ、それ以外のところ、特に三浦半島あたりは人口減少が非常に著しいです[グラフ1]。 トータルとすればまだ増えてはいるのですけれども、しかし全体で見ても、人口増加はさらに続いていくかというと必ずしもそうでもない。あと、幾ときかすれば頭打ちになる、やっぱり人口減少に転じていくという、こういう現状ですね。 こんな中でどうしていくのかということの一番の基本、私は神奈川県知事として立候補するときに、「いのち輝く神奈川」、そして「マグネット神奈川」という言い方をしてきました。「マグネット神奈川」。マグネットとは磁石、磁石という引きつける力を持ったそんな神奈川にしたいという思いです。 つまり、行ってみたいな、住んでみたいな。そういう思いがどんどん広がっていくような、そんな神奈川にしたい。それも神奈川全体だけじゃなくて、それぞれの地域地域が「マグネット力を持つことが大事だ」ということをずっと言ってまいりました。 ですから、神奈川に来て、移り住んで、そして人口が増えることに貢献していただきたい。こんな思いは当然あるのですね。それと同時に、「いのち輝く」ということ、これを大事にしていますから、子供を産むなら神奈川、子供を育てるなら神奈川、そんなところにしてみたいなというふうに考えていますね。 神奈川のさまざまな地域地域のライフスタイル、全部違うのですね。だから横浜、川崎のような大都会に住んで、そして大都会のそういう生活を満喫したいという方は、これはどうぞ来てください。それだけじゃなくて、例えば、三浦半島に行けば、海と農作物も非常に近いところにありますから、そういったことに触れながら、でも通勤もそんなに遠くはない。 例えば、県の西の方に行ったら、足柄とか小田原とか、箱根とかありますけれども、こういったところで、やっぱり大自然に抱かれながら、のんびりした生活をしながら、でもビジネスのほうもちゃんとできますよ、というふうな、いろいろな生活のスタイルがありますから、どんどん人が移り住んできてほしいと、こういう政策もしていくところです。