NISAは若者が長期に使える制度になっていない? 改善すべきポイントは
1月にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)。金融庁の調査によると、6月末時点で約727万口座が開設され、買い付け総額も1兆 5631億円で、まずまずの滑り出しといわれています。一方で、口座を持っている人の70%以上は50歳代以上で、投資ビギナーが多い20歳代、30歳代は口座数、買い付け額ともに少ないというデータもあり、「勧められて口座は開いたものの、半数以上が未投資なのではないか」(証券関係者)といわれています。NISAには投資を経験したことのない層に株式市場への参入を促すねらいがありますが、「若者層が長期的に使える制度になっていない。非課税枠などの期間拡大などが必要」という声も出ています。 【図表】NISA対象 金融商品のリスクとリターン
非課税期間の延長が必要?
NISAとは、投資元本が年間100万円までならば、株や株式投信の値上がり益、配当・分配金にかかる税金が5年間非課税になる制度。1999年に英国で導入された制度を参考に導入されました。2015年度の税制改正要望では月割計算がしやすいようにと年間非課税枠を120万円へ引き上げるという要望が出ています。金融庁調査(6月末時点)ではNISA口座開設数のうち、約75%が50歳代以上だった一方、20歳代は3.5%、30歳代は8.2%にとどまり、若年層の投資市場の呼び込みにはまだ成功したとはいえない状況です。 若年層の口座数などが伸びていない点について、大和総研金融調査部の吉井一洋・制度調査担当部長は「証券、金融会社はまず既存の顧客の獲得に力をいれたため、スタート時点で投資経験の多い高齢者が多くなる面は致し方ない」としながらも、「非課税枠の期間が5年、口座開設期間も2014年から10年間に限られており、若年層が長期スパンで人生設計や投資を考えられるようになっていない。期間の延長がなければ若年層は参加しにくいのではないか」と指摘します。 また、これまで保有していた株式や投資信託はNISA口座に直接移動することができず、こうした投資資金をNISAで運用するにはこれまでもっていた株式などを売却する必要がある点。NISA口座の非課税期間中に損失を確定させても、その損失を一般、特定口座にある株式や投資信託の譲渡益などと損益を合算できないなどの面に不満の声もあるようです。