《ブラジル》催眠術で女性38人に性的虐待=産婦人科医に懲役35年の判決
パラナ州マリンガ市の診療所内で女性38人に性的虐待を行ったとして告発されていた婦人科医フェリペ・サー容疑者(40歳)が8月30日、懲役35年の判決を言い渡された。彼は2023年6月に逮捕されたが12月には釈放され、それ以降は電子足輪による監視下にあるものの、控訴が審理される間も引き続き自由の身である可能性が高いとされている。容疑者の弁護側は判決を不服として控訴する意向を示していると3日付G1などが報じた。 教鞭を取っていた私立大学の学生や患者に対する性的暴力、セクハラ、強姦の疑いで、サー容疑者に対する捜査が2023年1月に開始され、その5カ月後の6月15日、勤務しているマリンガ市内の診療所で逮捕された。この際、逮捕を確実にするために、妊娠中の婦警が患者になりすまして診察を予約した。 担当警部ジミトリ・トステス・モンテイロ氏は、被害者の一人が催眠状態にある間にサー容疑者によって虐待されたと述べた。「容疑者は催眠療法を使用し、被害者の理解能力の低下を促した。この状況下で彼は被害者に自慰行為や性的な接触を求め、自らの快楽を得ようとした」と説明した。 警察は41人の女性を被害者として特定したが、うち38人からの告発が調査の対象となった。 サー容疑者は2023年7月に同州裁判所によって保釈請求が却下された。その2カ月後、「個人的特徴により、安全を確保するために他の受刑者から隔離する必要がある」との理由から、マリンガ市立刑務所から州都クリチバ近郊のピニャイスにある刑事医療複合施設に移送され、そこで6カ月間拘留された後、同年12月19日に電子足輪を装着して釈放された。 8月30日に行われた裁判では、容疑者に強姦罪で13回の有罪判決が下され、計35年1カ月9日の禁固刑が言い渡された。被害者に対し、それぞれ1万5千レアル(約38万円)の精神的損害の賠償金を支払うよう命じられた。婦人科の専門医資格を剥奪され、いかなる医療活動も禁止された。 被害者の一人は、医師が懲役刑に処されたことに対し、安堵の気持ちを抱いていると語った。「被害を受けた多くの女性が告発していないことを知っています。この事件とその反響が、他の専門家が同様の行為を行うことを抑止するかもしれません。彼の刑期が35年であろうが1年であろうが、どうでもよいのです。私たちが望んでいたのは、彼が医療行為を行う権利を失うことでした。2度と同じことを繰り返さないために。私たちが行ったこと、経験したことには意味があり、その結果が正義をもたらしたのです」と述べた。