住友金属鉱山と三菱商事が豪ニッケル開発案件に参画。権益最大50%取得、ニッケル年産3万トン
住友金属鉱山と三菱商事は先月30日、豪州鉱山会社アルデア・リソーシズが100%保有する豪州カルグーリー・ニッケル・プロジェクトにおけるグーンガリー・ハブの開発に新規参画すると発表した。両社が新設する合弁会社を通じ、同鉱区の権益を保有するアルデア社子会社に最終的な事業化調査(DFS)の資金として9850万豪ドル(約99億円)を拠出し、条件付きで同社株式を段階的に最大50%取得する。同鉱区は40年超にわたって年間でニッケル約3万トン、コバルト約2千トンの生産が見込まれる。生産開始後は日本側が生産物の75%の引取権を得る。DFSは2024年前半に開始し、25年後半の完了を見込み、その後の開発に向けて協議を重ねていく考え。 グーンガリー・ハブは、西オーストラリア州に位置する世界最大規模のニッケル資源量を有する開発案件。採掘法は露天掘りで、可採鉱量は1億9400万トン(ニッケル品位0・7%、コバルト品位0・05%ベース)。HPAL法(高圧硫酸浸出法)を用いて、中間製品のニッケル・コバルト混合硫化物(MS)を生産する計画。 合弁会社(出資比率・住友金属鉱山80%、三菱商事20%)が拠出する9850万豪ドルはDFSの予算額に相当し、その資金に充当される。同予算の50%拠出時にカルグーリー社の株式17・5%、DFS完了時に追加で17・5%(合計35%)の株式を日本側が取得する。さらに最終投資決定(FID)承認時に追加で15%の株式(合計50%)を取得する権利も有する。 今後は、HPAL法を世界に先駆けて商業ベースで実用化した住友金属鉱山の知見と、豪州での鉱山事業の実績を有する三菱商事の知見を生かし、同鉱区の事業性の検証を進める。 住友金属鉱山は長期ビジョンのターゲットの一つに「ニッケル生産量15万トン/年」を掲げ、重要鉱物であるニッケル鉱源の確保を積極的に進めている。三菱商事はニッケル資源事業への投資を含むEX(エネルギー・トランスフォーメーション)関連投資を成長戦略の一つに掲げており、今回の投資はその一環となる。 今回の事業化調査と新規参画は、経済産業省から「重要鉱物の供給確保計画」の第二号案件として認定を受けている。