長谷川あかりさんのごはん事情。「普通の台所でも簡単おいしい料理はつくれる」
シンプルかつ体に優しいレシピに定評がある、料理家の長谷川あかりさん。今年7月には、初のパーソナルムックが創刊されて話題になりました。そして12月には待望の2冊目が発売予定。今回は長谷川さんに、ムックづくりのなかで感じたことや工夫したこと、さらにこれから挑戦してみたいことなどをお伺いしました。
料理“初心者”も気軽に手に取れる1冊がつくりたかった
――『長谷川あかり DAILY RECIPE』(扶桑社刊)は、最新のレシピに加えて、長谷川さん自身の暮らしぶりや好みが分かる1冊です。“パーソナルムック”ということで、これまで出版されてきたレシピ本とは大きく異なりますが、まずは出版のきっかけを教えていただけますか。 長谷川あかりさん(以下、長谷川):私自身、料理本が大好き。でも、なじみの薄い方々にとっては、「難しそう」、「料理が得意な人が買うもの」というイメージが少しありませんか? だから、料理の知識は身につきつつも、従来の料理本の枠にとらわれないものをつくってみたかったんです。 それに今はSNSなどでレシピを簡単に検索できる時代。だからこそ、若い世代の方を中心に、気軽に手に取っていただける1冊にしたかった。これがパーソナルムックの制作に踏み出したきっかけです。 ――表紙もこれまでになかったテイストですよね。 長谷川:そうですね。『DAILY RECIPE』の表紙はバックの色が緑色。1冊トータルで、ポップかつ楽しい世界観を意識していきました。こうしたパキっとした原色系って、料理本ではあまり使われていなかったと思います。
キッチンの映え要素はないけれど…
――ムック内では、ご自宅のキッチンも紹介されていますね。 長谷川:料理家の方のキッチンというと、おしゃれなビンや季節のつくりおき食材が並べられていて…みたいな印象がありますよね。私もそういうすてきな写真を眺めるのが大好きなんです。ただ、“長谷川あかり”という料理家の場合は? と振り返ってみると、わが家のキッチンに映え要素はゼロ(笑)。 住んでいる部屋の備えつけのガスコンロを使っていますし、収納がそこまで多いわけでもない。冷蔵庫の中も、基本はすっきりとしています。小まめにスーパーへ買い物に行き、「なにをつくろうかな?」と考えるのが好きなので、つくりおき系の料理もあまり入れていません。 ――そうなんですね。それは少し意外かもしれません。 長谷川:料理って基本は面倒くさいものだと思っているんです。その面倒くさいものへ取り組む動機づけに、夢を見させてくれる台所も、もちろん必要だと思います。その一方で、私みたいに都内で慌ただしく働きながら、夫婦2人でなんとか生きている人間のキッチンをお見せしてもいいのかなと(笑)。 とくに凝ったものをそろえているわけではない、現実的な台所から「うちと似てる」、「この環境でも、いろいろとつくれるものがあるんだ!」と、思っていただけたらうれしいですね。