『透明なわたしたち』松本優作監督×編集:松岡勇磨 感情をつなげる編集とは 【Director’s Interview Vol.437】
―なぜ君は凶悪犯になったのかー 刺激的なキャッチコピーを纏った『透明なわたしたち』は、ABEMAで配信中のオリジナルドラマ。映画『Winny』(23)『ぜんぶ、ボクのせい』(22)の松本優作が脚本と監督を務め、藤井道人がプロデュースを担当。 “今”の社会を切り取り、現代の若者たちが感じる「居場所のなさ」や「孤独」といった心情を、完全オリジナル脚本にて描き出す。 松本監督が本作の編集に指名したのは、CMやMVで活躍する松岡勇磨。二人は過去に一度だけMVで仕事をしたことがあるものの、松岡はドラマや映画などの長尺コンテンツの編集は未経験。そんな松岡を松本監督はなぜ編集に指名したのか、そして二人はいかにして本作を作り上げたのか。話を伺った。
「透明なわたしたち」あらすじ
2024年渋谷。身元不明の⻘年が、ある凶悪事件を引き起こす。週刊誌ライターの主人公・碧(あおい)は、事件の犯人が高校の同級生ではないかと気付き、疎遠になっていたかつての仲間たちと再会。誰が、なぜ、事件を起こしたのか。高校時代を回想しながら、真相を追いかけていく。その中で鮮明な記憶として甦るのは、文化祭の日に起きたある事件。過去と現在、それぞれの事件が繋がり“真実”が紐解かれるーー。
藤井道人との出会い
Q:本作のプロデュースは映画監督である藤井道人氏が担当されています。松本さんはどのようなきっかけで監督・脚本を担当することになったのでしょうか。 松本:藤井さんとの出会いは2018年のドイツの映画祭で、藤井さんは『青の帰り道』(18)、僕は『Noise』(18)という作品でそれぞれ参加していました。『Noise』は無差別殺傷事件を扱った作品でしたが、藤井さんもそれまで同じようなテーマで作品を撮られていた。それで話が盛り上がり、先輩と後輩のような関係で仲良くさせていただくようになりました。 仕事でご一緒するのは今回が初めてで、きっかけはABEMAの中村好佑さんと、BABLE LABELの瀬崎秀人さんという二人のプロデューサーからのお声がけでした。そこに藤井さんも入っていただいた流れですね。 Q:「いつか一緒に仕事を」と、藤井さんと話されていたのでしょうか。 松本:監督同士なので「一緒に作品を」ということではありませんでしたが、「自分たちの世代で日本映画界を一緒に盛り上げたいね」と話していました。その後の藤井さんは『新聞記者』(19)をはじめ、いろいろな作品を撮りながら自分の発した言葉を実現されている。それを目の当たりにしながら、すごく刺激を受けました。 Q:奇しくもこのタイミングで、松本監督もBABEL LABELに所属することになりました。 松本:以前から藤井監督にはお誘い頂いていました。今回の作品があったからというわけではなく、本当にタイミングでしたね。
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