この花、来年も咲く? いまさら聞けない「一年草」と「多年草」
「一年草(いちねんそう)」と「多年草(たねんそう)」。植物を育てているとよく耳にする言葉ですが、その違いを知っていますか? 園芸を楽しむうえで知っておきたい植物の基礎知識を、『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビDo 小さな庭をつくる』(著・河野義雄)から紹介します。 一年草の植物
1~2年で枯死する「一・二年草」、長く生き続ける「多年草」
花壇に植えつける草花にはさまざまな種類がありますが、タネをまいてから1 年以内に花を咲かせ(実をつけ)、その後、枯れてしまうタイプのものを一年草といいます(1年を越えて生育し2年目に開花、そして枯れるものは二年草)。すなわち一年草は、毎年タネから苗を育てて花壇に植えつける必要があります。 一方、タネから芽を出し、生育開始したのち、何年も生育を続け、1年のうち決まった時期に花を咲かせることを繰り返すタイプの草花を多年草といいます(熱帯地方原産の多年草のなかには日本の冬の寒さに耐えられず枯れてしまうものもあり、一年草として扱われるものもあります)。
多年草には宿根草、球根植物が含まれる
多年草は、世界各地のさまざまな環境に自生しており、その生育環境の違いにより多様なタイプに分かれます。なかでも寒い地域や高山、乾季のあるような乾燥地域原産のもののなかには寒さや乾燥に耐えるため、生育に適さない時期に地上部を枯らして生き残るものもあります。株元に芽を残して寒さや乾燥に耐えたり、地中で根株が生き残ったりし、春や雨季になると生育を再開します。このタイプの多年草を「宿根草」と呼んで多年草のなかでも区別することがあります。主に熱帯や亜熱帯地方では常緑の種類もあります。また、生育に適さない時期を球根の形で養分を蓄え、土中で過ごす(休眠する)球根植物もあります。これも多年草です。
多年草は数年に1回植え替えや株分けが必要
多年草は、一度植えつけると何年にもわたり生育を続けてくれますが、開花時期が1年のうち決まった一時期だけであることが多いという特徴があります。また、次第に株が大きくなりすぎたり、広がりすぎたりします。やがて花つきが悪くなることがあるうえ、花壇の中で配置のバランスをくずしてしまうことから数年に1回植え替えや株分けを行う必要があります。 花壇には、常緑性の多年草、宿根草、球根植物をうまく組み合わせて植えつけ、花の少ない時期にはさらに一年草を組み合わせることで1年を通して変化に富んだ花壇を楽しむことができます。それぞれの好む生育環境を理解して管理することで植物の特徴がよく出た生き生きとした花壇になるでしょう。