熊野住民がバス振興策 富山市、地鉄協力でバス停に駐車場 パーク&ライド実験開始
●地域の足自ら守る 富山市熊野校下自治振興会の提案で実現したマイカーから路線バスに乗り換えやすいようバス停に駐車場を設ける「パーク・アンド・ライド」の社会実験が今月、熊野地区で始まった。住民自らがバス路線を維持するため利用促進策を考え、要望を受けた市の橋渡しで富山地方鉄道が協力した。市によると、地域主導での公共交通活性化の実験は珍しく、地域の「足」を地域で守るモデルになると期待している。 駐車場を設置した辰尾団地バス停は、富山駅と熊野地区を結ぶ富山地鉄の路線の終点で、運行本数は1時間に1便程度となる。駐車場の敷地は、市から地元自治振興会の要望を聞いた富山地鉄が自社の敷地を無償利用できるよう協力した。 バス停近くの敷地にロープで線を引き、3台分の駐車スペースを設けた。駐車は無料、予約不要で、自宅からバス停まで距離のある人もバスを利用しやすくする。 自治振興会と富山地鉄によると、バスはもともと辰尾団地より先まで走っていたが、利用者の減少で縮小された。利用が低迷すれば現路線も維持されないとの危機感から自治振興会が社会実験を要望してきた。 実験は今年度末までで、自治振興会が除草や冬場の除雪といった維持管理を行う。バス停にアンケート用紙を置き、駐車場の利用状況、バスの利用促進への効果などを調べ、来年度以降の取り組み継続や増設を検討する。 自治振興会の布目勇副会長(77)は「地域にとって大切なバス路線で、何としても維持したい。バスの利用増につながってほしい」と話した。 ●「月間」で利用促進 市は2022年度から8月を「公共交通利用促進月間」と独自に定めている。今年度は実験のほか、移動に関するサービスを提供するスマートフォンアプリ「マイルート」で、富山地鉄の列車やバスの特定区間の1日乗り放題切符も販売する。市の担当者は「官民連携で公共交通の利用を後押ししたい」と話した。