TikTokトップインフルエンサー 年収26億円…アメリカ Z世代が「インフルエンサー」に憧れる背景にあるものとは?
◆Z世代がインフルエンサーに憧れる理由
数字を見るとアメリカは失業率が低いですが、人手が足りないのは小売、サービス、介護といった低賃金や非正規の仕事です。高学歴と低学歴の貧富の差が開くなか、Z世代にはまったく違う道を選ぼうとする人も出てきます。 ラボメンバーが注目するのは、世間や人の思考・行動に大きな影響を与える人物「インフルエンサー」の存在。この詳細を聞きました。 シャンシャン:たしかにより高い学位を持つことが、よりよい人生や質の高い生活を送るための1つの道だよね。だけどさ、「それってどうなの!」と思ってしまうのはインフルエンサーの存在なんだよ。 インフルエンサーって20歳そこそこで家を買ったりもしているけれど、学位さえ持っていないよね。まだ高校生のインフルエンサーもいる。私は一生懸命働きながら、どうしたら将来よりよい生活ができるのかを考えているのに。彼らにはまったく敵わないからね。 ミクア:私もフォーブスのインフルエンサー富裕層リスト、彼らがどれだけ稼いでいるか書いてあるやつを見たよ。「うわーっ」って思った。私がTikTokでフォローしている女の子は、始めて2年も経たないのに年収6億円を稼いでいる。TikTokだけでだよ。 彼女は学士号も持っているけど、そんなの必要ないよね。今すぐ6億も稼げるんだから。本当にクレイジーだよね。 メアリー:NPC配信(※)ってのもあるよね。インフルエンサーがTikTokでライブ配信すると、ファンがステッカーをプレゼントしてくれるやつ。たとえばバラのステッカーを送ると、「バラの匂い、すごくいいね!」って返事がくる。ただそれだけ。でも、そのステッカーは課金されるからね。 ※ゲームのNPC(ノンプレイヤーキャラクター/モブキャラ)のように、「話しかけられたらお決まりのフレーズを返す」といった、視聴者のアクションに対して単調な反応を返すだけのライブ配信。 ケンジュ:でも、インターネットはいいと思うよ。私たちの世代に平等なチャンスをくれたじゃない。 メアリー:ただこうなると、ストライキをしている人たちにすごく共感するんだよね。たとえば自動車メーカーのCEOの給与は、従業員の給与の40倍とかでしょう。従業員の給与はあまり上がっていないのに。私はそういうストライキを応援するし、彼らの給与が上がることで、ほかのさまざまな業態の労働者の給与も上がって欲しいと思うよ。 TikTokインフルエンサーの収入トップの年収は26億円。それだけでも驚きですが、フォロワー1億5千万人を持つインフルエンサーの年齢はなんと19歳です。その現実を知ると、時間とお金がかかる学歴を得るより、インフルエンサーになったほうがいいのではないかという考えが浮かぶのも理解できます。 調査によると、アメリカZ世代の約6割が「できればインフルエンサーになりたい」と望んでいます。インフルエンサーになりたい理由は「名声とお金」がほとんどですが、自分で自分の収入をコントロールしたいフリーランスや起業家的な発想の人も少なくありません。 その背景には、どれだけ頑張って職を得ても、将来が不安定という現状が考えられます。安定を望んでIT系やコンサルタント職に就いたとしても、企業都合による解雇が相次いでいるからです。 「昔は業績が悪いから解雇したんですけど、今は株価や収益を上げたいから、人件費をカットしたいからという理由で解雇するんですよ。そうした会社の都合で解雇されたらたまったものではないですよね。そんなことをされたら、なぜ一生懸命勉強や仕事をしなきゃいけないんだって気持ちにもなりますよね」とシェリーは語ります。 こうした企業への反感も広がることで、ラボメンバーのように労働組合のストライキに同情的な若者も増えています。今年はさらに労組結成やストライキが増えると予想されています。シェリーは「こういった社会の激動が、アメリカから世界へ広がっていると思います。日本にもその流れが来るのではないでしょうか」と話し、話題を締めくくりました。 (interfm「sensor」2024年2月23日(金)放送より)