「中受アカ」SNSに氾濫する受験情報に踊らされる親が杞憂の理由、「中受沼」の食事会で感じた「中の人」の素顔とは
SNSの中学受験情報発信に不安になる親たち
SNSの世界も同様である。X(旧Twitter)でわが子の中学受験の模様を日々つぶやく保護者アカウント、いわゆる「中受アカ」の多さには驚く。以前、私がXの音声コミュニティ「スペース」で中学受験の入試動向に関する情報交換の場を設けた際は、実に2000名近くものリスナーが集まった。 Xでは、わが子の受験勉強の様子をリポートし、ときに勉強に付き添う父親や母親のpost(つぶやき)が頻繁に流れてくる。「中受アカ」の中には数千、数万というフォロワーを有するインフルエンサーも存在するが、こうした「中受アカ」の投稿を見て、わが子に対する自身のフォロー体制の不十分さに焦ってしまう親も多いことだろう。 「算数は、毎朝『○○』という教材を解かせ、父親が丸つけをしたうえで細かく指導をしている」 「理科は、基礎事項を確認してから関連する小ネタを子どもに与え、親子でディスカッションをしている」 「模擬試験の結果より、過去問の得点状況に信頼を置くべき。志望校合格のために不足しているものを親が見いだし、適した問題を用意してあげなくてはいけない」 上述はあくまで創作だが、こうした投稿を目にすれば、「わが家でも実践しないと、合格に近づけないかもしれない」と不安になってしまうのも仕方がない。
「中受沼」のお食事会に参加してみた
先日、とある「中受アカ」のインフルエンサーからDMで、「24年度に中学受験を終えた『中受沼』の親たちとの食事会にいらっしゃいませんか?」とお誘いを受けた。私は、「塾講師としてではなく、皆様と同じ24年度の中学受験を経験した父親としてなら参加します」と返信した。私も今春、息子の中学受験を終えたばかりなのである。とはいえ、これは方便。私はどうしても、プロ講師としてこの目で確認したいことがあった。「中受アカ」インフルエンサーの素顔は、いったいどのようなものなのだろうか、と。 結論から言うと、彼らはとても聡明であった。そして強く感じたのが、わが子の「中学受験勉強」の面白さに取りつかれている、ということだ。XなどのSNSでわが子の中学受験について逐一postしている親の多くは、時間の融通が利く柔軟な環境にあるか、わが子への指導がもはや趣味となり楽しくて仕方ないと思っているか、もしくはその双方を満たす、ある意味「変わった人たち」ということである。 何事も、常人が「変人」の真似をしようとするのは無理がある。そういえば、ある家庭教師の女性アカウント(@keisantokanji)も、かつてこんなpostをされていた。簡約すると次のような内容である。 〈「中受沼」の保護者たちの輝かしい成功談が流れてきますが、次のような保護者は「普通」ではありませんからね。 (1)親が(難関校の)過去問をサクサク解ける、 (2)親が在宅勤務を含め仕事量をフレキシブルに調整できる社会的地位を有している、 (3)塾の面談で担当講師と対等に話が出来る情報量を持つ、 (4)子どもに対して感情的になることはほぼない〉 私もこの内容に同意だ。だからこそ、われわれの中学受験塾のようなサービス業が、子どもの受験勉強への「伴走」を代行したり、受験校選定を手伝ったりしているのだ。