「中受アカ」SNSに氾濫する受験情報に踊らされる親が杞憂の理由、「中受沼」の食事会で感じた「中の人」の素顔とは
中学受験の成功譚ばかりが広がるのはなぜ?
2024年度の中学入試が終わった。森上教育研究所が公表したデータによると、首都圏1都3県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)の小学6年生の児童数は昨年比で5000人以上減少したにもかかわらず、首都圏私立中学受験者総数の近似値とされる2月1日午前中の総受験者数は前年比で99.8%にとどまり、受験率も上がっている。中学受験は依然として活況を呈していると言えるだろう。SNSにも多くの情報が氾濫するが、中学受験塾スタジオキャンパス代表の矢野耕平氏は「わが子を支える親が情報に踊らされないことが大切」と警鐘を鳴らす。 【画像で見る】中学受験に関するSNSでの情報発信の捉え方について警鐘を鳴らす矢野耕平氏 中学受験の余韻が残る3月。職場の同僚や、同級生の親同士で受験話に花が咲く場面も多いだろう。 「○○さんのお嬢さんは御三家の○○中学校に合格したんだって!」 「同級生の○○くんのお兄さんは○○塾で成績を伸ばして、第1志望校に合格したみたい」 こんな噂話が飛び交うこともしばしばだ。しかしふと思い返すと、こうした「伝聞」のほとんどが成功事例であることに違和感を覚えた経験はないだろうか。 2024年度、首都圏の中学受験者総数は前年比で微減した一方で、首都圏の小学校6年生の数を分母とする「私立中学受験率」は伸長した。一般的にも、中学受験で第1志望校に合格できるのは男子で「約4人に1人」、女子で「約3人に1人」と言われるほどで、第1志望校に落ちる子のほうが多い厳しい世界だ。それにもかかわらず、なぜ中学受験は「成功譚」であふれているのか。 事は単純で、中学受験で思うようにいかなかった家庭は口をつぐむからだ。その結果、成功事例ばかりが耳に入り、「うちも中学受験をさせようか」などと考えてしまうのである。 私が言いたいのは、ここで一度立ち止まり、わが子にとって中学受験がよい学習機会となるか、あるいは、中高一貫校に進学する意義があるかについてじっくり考えていただきたい、ということだ。