【片づけの難所】食器棚は「隠れモノ屋敷」
散らかっている場所を片づけるよりも、きちんと収納されている場所を片づけるほうが実は大変だと、プロは指摘する。 なかでも食器棚は、どのお宅もギュウギュウに食器などが詰まっているため「片づけの難所」だ。しかも驚くことに、食器棚に入っている食器は実は使われていないことがほとんどだという。 このやっかいな「食器棚」を片づけると、身も心も楽になるという人は多い。どうやら「中は見えないけれど、何かと目につく収納」は、生活のストレスになっていることもあるのだという。 そこで登録者数16万人の人気YouTube「イーブイ片付けチャンネル」の運営者であり、書籍『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』の著者・二見文直氏に、暮らしも気持ちも驚くほど軽くなる「食器棚」の片づけについて伺った。(構成/ダイヤモンド社・和田史子) 【この記事の画像を見る】 ● いらないものがギュウギュウに詰まっている場所 部屋が散らかっていれば「片づけなきゃ」と思いますが、きちんと収納されていれば気になりません。見えなければ問題なし。ここに片づけの落とし穴があります。 いらないものがギュウギュウに詰まっている場所は、片づけの難所です。これまで数多くのお宅の片づけをさせていただきましたが、どの家でも「モノがギュウギュウに詰まっている」場所は決まっています。ナンバー1は食器棚です。収納が大きいので、いざ片づけようとすると大変。次から次へと食器や食品、雑貨類などが出てきます。 食器は食器棚に収納されているため、いらないモノがたくさん置いてあることに気づきにくい場所です。モノが多いお宅の食器棚は大きいです。全部出してみると、とんでもない数の食器が使われずに入れっぱなしになっています。 では、食器棚に入っている食器は意外にも使われていないケースが多い。ただ食器棚の中に置かれてしまっているという悲しい現実があります。もったいないことです。 一方、普段使っている食器は食洗機やキッチンの水切りカゴにあるなどして、すぐに取り出して使える状態になっています。そう、食器棚には置いていません。 こんなふうに、食器棚は「いらないモノの避難所」になっていることがほとんどです。 言い換えると、食器棚を攻略すると捨てる力はものすごくアップします。 食器棚には、いつか使う「かも」というお客様用のモノや贈答品(結婚式の引出物などでもらったモノ)などが目につきます。贈答品の食器類は、処分したからといって相手の気持ちまで捨てるわけではありません。大切なのは「いただいた」という感謝の気持ちです。 婚礼家具として買った大きな食器棚も、子育てが終わると7、8割の食器が不要になるので、食器棚自体を処分される方がとても多いです。なぜなら、食器を減らし始めると「そもそも、こんな大きい食器棚いる?」と疑問に思って処分したくなるから。 「食器棚を捨てたら、気持ちが前向きになりました」 圧力鍋などの使っていない重い調理家電と同じく、食器棚を捨てただけなのに、心まで軽くなったという方を何人も見てきました。 食器棚は毎日見るところでもあります。毎日見る「開かずの扉」。そういう場所にある「無意識にたまったストレス」が取り除かれると、気持ちも一気に解放されるのかもしれません。勇気を出して扉を開いて片づけを始めましょう。 ● まずは減らすことから この連載で何回かお伝えしていますが、片づけの一歩は「捨てる」ことです。 ご家族で住んでいる(住んでいた)依頼者さんのお宅にはたいてい大量の食器がありますが、大量の食器が存在することさえ、ほとんどの人は忘れています。であれば全部捨てても問題はないのですが、なかなかそういった決断はできないかもしれません。 「捨てるか、捨てないか」を決めるのは、慣れないうちはしんどいでしょう。そんなときにおすすめなのが、数を減らす作戦です。 例えば同じ柄のグラスが5個あったとします。今は夫婦2人暮らし。であれば人数プラス1までOKとして、2個処分します。つまり5個→3個に減らすのです。減らすだけですから、単純作業でできるはずです。 減らすルールは「きれいなものだけ残す」。グラスであれば曇っているもの、汚れが底に残っているモノから処分します。重ねてある小皿であれば、下のほうは使っていないはずなので上から順に処分します(「【苦手克服】「捨てられない…」を解決! プロ直伝の“5→3”片づけ術」の記事も参考にしてみてください)。 お弁当箱や水筒、バスタオルなどにもこの方法が使えますので、ぜひやってみてください。
二見文直