圧巻! 今見るべき沖縄の名建築7選【沖縄シティガイド】
・〈カトリック与那原教会(聖クララ教会)〉片岡献+SOM(1958年)
その気候や風土の影響、さらに戦後コンクリートが広く普及した経緯などから、独自の発展を遂げてきた沖縄の建築群。モダニズム建築の名作から、近年完成した市庁舎まで、見逃せない沖縄の名建築7選を紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 戦後の復興を願う、光に満ちた祈りの空間。 沖縄本島南部、与那原(よなばる)町の高台に建てられたカトリック教会。美しいステンドグラスの礼拝堂はその歴史的な価値も認められ、DOCOMOMO Japanによる「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」の1つに選定されている。
戦後間もなく来島した宣教師たちにより、修道院(非公開)を併せ持つカトリック教会が計画された。設計は在日米軍の建設部に所属していた日系人建築家・片山献で、シカゴを拠点とする設計事務所SOMの指導があったされている。現在のSOMは〈東京ミッドタウン〉など、日本でも高層建築を数多く手がける世界有数の大手設計事務所だ。
低く抑えられたエントランスから、中庭に巡らされた回廊を通って、光の礼拝堂へと導かれるのにも、心動かされる。また平屋根の屋上は雨水が地下の貯水槽に集められる構造にもなっていて、それが生活用水に利用されるのも環境に配慮した先進的な仕組みだ。
カトリック与那原教会(聖クララ教会)
沖縄県与那原町与那原3090-5
・〈沖縄県平和祈念資料館〉福村俊治 + team DREAM(1999年)
沖縄戦を伝え、未来の夢や希望を願う「平和の形」。 壮絶さを極めた沖縄戦終焉の地に建つ、住民からの証言をもとにした沖縄戦の展示で平和を考えるための資料館。旧資料館の建て替えで設計され、沖縄戦で亡くなられた国内外24万人余の名前が刻まれる〈平和の礎(いしじ)〉を取り囲むように配置され、集落のような風景が作られている。
建物の外側の柱廊、敷石や植栽のある中庭、エントランスホール前の広いピロティ、石畳のスロープなど、伝統的な沖縄建築を新しい形で再現している。内部はモダンで、柱が並ぶ湾曲した長いホールが印象的。北側に展示室や多目的ホールが連なる。
2階にある常設展示室には沖縄戦の実相と悲惨さが克明に記される。その先に大きな海と空に開かれた〈海と礎の回廊〉があり、また展望台からも〈平和祈念公園〉全体と太平洋が一望できる。歴史に向き合い、平和について考えるための空間だ。